くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

坂永雄一・曽根卓・伴名練・皆月蒼葉『改変歴史SFアンソロジー』


作者:坂永雄一・曽根卓・伴名練・皆月蒼葉
出版社/メーカー:カモガワSFシリーズ Kコレクション
発売日:
メディア:文庫判(A6)

あらすじ
米ソの人工知能開発競争でソ連が勝利した世界、改変種の朝顔が江戸の文化と経済を激変させた世界、緑茶が強烈な依存性をもった薬物だった世界――流れを変えた歴史の果てに待ち受けるのは、未知にして異形の新世界の数々。第4期京都大学SF・幻想文学研究界の出身メンバーである、坂永雄一・曽根卓・伴名練・皆月蒼葉による書き下ろし小説、計4作品を収録した改変歴史SFアンソロジー

亮人::どぅおもー!漫才風読書感想でーす!
使い魔・ゲンキ君::今回は『改変歴史SFアンソロジー』だガル!
亮人::同人誌、個人出版本やな!同人誌でも漫才風読書感想はやるでー!
ゲンキ君::この前の文フリ大阪でゲットしたものだガル!
亮人::ツイッターのTLで流れてきてて絶対に欲しかったんよ!
ゲンキ君::この前のお盆の夏のコミケで発売されて、一日目で即完売したんだガルよねー?そして今回のは増刷分の第2版!
亮人::なんとしても欲しかったから、会場に入って走って一番に買いに行ったんよなー!!m9っ`・ω・´)
ゲンキ君::まぁたっぷり増刷してくれたみたいだから、そんなに走る必要はなかったようだけどねw
亮人::京大SF研OBのSF作家さんによるサークルだけに、「強大」な増刷力だったようやねw
ゲンキ君::増刷力って何だガル!?
亮人::あとこの本の話題性といえば、装丁やよなー!
ゲンキ君::ハヤカワ文庫SFにソックリ!
亮人::表紙イラストの雰囲気も、背表紙の青背も、裏表紙や奥付まで、完全にハヤカワや!
ゲンキ君::カモガワ文庫っていうネーミングも、ハヤカワを京都風にモジってて、良いガル!
亮人::それではこのへんで、各短編を見ていこか?

  • 曽根卓「緑茶が阿片である世界」

ゲンキ君::一編目は、曽根卓「緑茶が阿片である世界」だガル!
亮人::文字通り緑茶に幻覚作用がある世界の日本の歴史を辿る話やね。幻覚作用はあっても依存性はないと日本人は言い張ってて、茶道が神性を帯びた文化になってたり。
ゲンキ君::通常の日本史世界史との微妙なズレが楽しいガルね!
亮人::ボストン茶会事件千利休など、お茶がポイントの歴史ワードをことごとく改変していくスタイルw しかも最後の悪ふざけ一歩手前の茶柱ネタも、これはひどすぎるw 好き!
ゲンキ君::ネタが濃すぎて、御主人もボケる隙がないガルねw
亮人::ということで、次の短編へ。

  • 皆月蒼葉「江戸の花」

ゲンキ君::二編目は、皆月蒼葉「江戸の花」だガル!
亮人::作者さんは「第3回創元SF短編賞 大森望賞」受賞の人やね。
ゲンキ君::普通にSF作家としてデビュウしてる人ばっかりというのが凄いガル!
亮人::このタイトルからしブルース・スターリングのオマージュで素敵よ!
ゲンキ君::朝顔油と蜜蝋を燃料とした絡繰力車が走り、蜂による計算機と通信機が発達した、異形の江戸スチームパンクだガル!蒸気じゃないけど、スチームパンクの雰囲気満々の改変歴史!
亮人::朝顔の花に錦絵が浮かび上がる花絵と消えた錦絵絵師を巡る陰謀。ストーリーテリングも面白い!けどなんといっても、この大江戸の世界観が素敵!
ゲンキ君::蜂が伝書鳩より正確な通信機になるのは分かるけど、計算機にもなるって発想が素晴らしいガル。
亮人::養蜂だけに、蜂の「用法」がスゴイw
ゲンキ君::ハチミツ並みに甘甘なボケだガル。次!

  • 坂永雄一「大熊座」

ゲンキ君::三編目は、坂永雄一「大熊座」だガル!
亮人::作者さんは「第1回創元SF短編賞 大森望賞」受賞の人。創元SF短編賞って、非常に厚いSF人材を輩出してるなー!
ゲンキ君::本短編は熊の話だガル。
亮人::コロラドの熊がおかしな行動をしているとのことで調査に向かう学者二人。そこで異様な光景を目撃する。しかしキモになるのは、熊のほうじゃなくて、人間のほうで……。
ゲンキ君::ショートショート的なオチが改変歴史のネタに直結しており、これ以上ネタバレできないガル!
亮人::テリー・ビッスンっぽい話かと思ったら、こういう改変歴史もあるのかと唸ったね!面白かった!

  • 伴名練「シンギュラリティ・ソヴィエト」

ゲンキ君::最後の短編は、伴名練「シンギュラリティ・ソヴィエト」だガル!
亮人::作者さんは「第17回日本ホラー小説大賞短編賞」を取って『少女禁区』という単著もあって、いろいろなSFアンソロジーにもいっぱい掲載されてる人やな。
ゲンキ君::東西冷戦で、史実では宇宙開発競争をしたが、本編ではソ連だけAI開発に注力しシンギュラリティを迎えてるという設定だガル。
亮人::人民の脳の半分ずつを計算資源として供出させてたり、党員専用の拡張現実を駆使したり、異形のソ連が面白い!この発想力に驚嘆やな!
ゲンキ君::ストーリーテリングも、スパイ物だったり、シンギュラリティのキーとなる過去を探る物語だったり、面白かったガル!
亮人::あと細かなところだけど、史実の東西冷戦で宇宙開発競争してアメリカが勝つというエピソードが、入れ子構造で挿入されてるのも、面白かったわ!
ゲンキ君::ところで御主人は最近、創作の案を練ってるらしいガルけど、もしオルタネート・ヒストリー(改変歴史)モノを書くとしたらどんなテーマがいいガルか?
亮人::そうやなー。イルカが地球の一番の知性として君臨してるオルタネート・ヒストリーとかかな!
ゲンキ君::イルカの知性はスゴイ高いガルからねー。
亮人::でもその場合、オルカが主人公やで!絶対に!オルカがおらんかったらブチギレるよ!
ゲンキ君::オルカって、シャチの仲間の?なんでそんな、こだわりが?
亮人::これがホントの「オルカねぇとヒステリー」wwなんちゃって!
ゲンキ君::そんなボケするやつ、おるかー!?ってもうやめさせてもらうわん!ガルガル!!

収録作

  • 曽根卓「緑茶が阿片である世界」
  • 皆月蒼葉「江戸の花」
  • 坂永雄一「大熊座」
  • 伴名練「シンギュラリティ・ソヴィエト」

★★★★★

f:id:akito0526:20180910113652j:plainf:id:akito0526:20180912205700j:plainf:id:akito0526:20180912205654j:plain