くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

「ナポリタン」

机に向かってキーボードを叩く。かなりの時間を執筆にあてていて、そろそろ一息つきたくなった。窓の外をちらりと見る。いつもの静かなカゴシマ通りの街並みが見える。つい先月まではスランプで一文字も打てなかったが、今は嘘のようにスラスラと文章が湧いてくる。そう、嘘のように。それもこれもあの本のお陰だった。

十九で高校を出て、すぐに小説の新人賞に選ばれデビューすることができた。しかし栄光も長くは続かなかった。華々しく長編小説デビューはしたものの、そのあとが続かなかった。スランプ。またの名をネタ切れ。一気に書けなくなった。

しかし今はどんどん書ける。キーボードを叩く指を止めたくない。止まらない。あのネタ切れが嘘のようだ。スランプから抜け出すために環境を変えようと両親の故郷に行ったことがきっかけだった。

 

一年半ほど前、スランプから抜け出すために行ったのはオーサカだった。私の両親がオーサカ出身だった。両親の生まれた街で何かインプットをすれば、また創作に生かせるという考えもあったが、まずは全てを忘れて旅がしたいという気持ちであった。

オーサカでは、いろいろな場所を周った。ドートン堀の立体看板を見たり、オーサカ城でエレベーター付きの城郭に登ったりもした。食事も刺激的な体験だった。お好み焼きやタコ焼きはもちろん、オーサカ湾はいい漁場らしく寿司も美味かった。

さらには母親の故郷であるオーサカ南部のカイヅカという古代のゴミ捨て場の名を冠した街にも行った。その街の玄関口である駅前に、私の街の名前と同じ屋号の食堂があった。そこで食べたナポリタンも最高だった。

そのあと、そこから少し歩いたところにある本屋に何気なく入った。そこで衝撃的な出合いをしたのだ。

 

その本屋はとても小さかった。個人で経営している本屋らしかった。オーサカの繁華街にある大型書店とは大違いの小ぢんまりとした佇まいだ。駅前の本屋というものは、ネット通販に淘汰されてもう絶滅寸前と聞いていたが、ここはまだ頑張っているようだ。

私はその本屋の奥にある文庫の棚へと分け入った。そのとき、レジにいた店主からの視線を感じた。私は軽く会釈した。だがまだその店主はじっとこちらを見ている。私は固まってしまった。何か強い念のようなものを感じる。何かを伝えようとしているのか。その視線は私の身体を電流のように貫き、手を勝手に動かした。導かれるように、目の前にある棚の本を取り出す。表紙にシンプルなイラストの描かれた文庫本だった。手に取ったものの、まだ何も考えられない。視線に射すくめられながら、身体は勝手にレジに向かっていた。身体は勝手に会計をしていた。店主は小さな声で「ありがとうございました」と言った。私は逃げるようにホテルに戻った。

 

旅行を終えてカゴシマ通りの自分の部屋に帰ってきた。あの本屋での不思議な出来事以外は楽しく普通の旅程を終えた。しかしあの体験は何だったのだろう。私はそのときの文庫本を取り出してみた。何の変哲もない薄い文庫本。ぱらぱらとページを開いてみる。短い話がいくつも載っているようだ。一つの話が数ページしかない。しかし一つ一つの話にはアイデアが詰まっていた。アイデアの乱発。こんな短い話にアイデアを使い潰して、もったいない。しかしこれは「使える」と感じた!私の中で悪魔がささやいた。

 

私はその「アイデア」を参考にして話を書いてみることにした。

 

一つ目は、バーカウンターが舞台の話だ。バーカウンターに女性型ロボットを立たせた店の話。美人の女性型ロボットは話も上手で、言葉巧みに客に酒を注文させる。店は大繁盛となる。しかし美人すぎたロボットは、嫉妬も招き、それがラストで悲劇となる。

これを長編にして刊行した。大ヒットとなった。

 

二つ目は、町のはずれに大穴が発見される話だ。大穴に向かって「おーい何か出てこないか」みたいなことを言う。しかし穴の底の見当もつかないほど深い。そこでその大穴を有効活用しようという話が持ち上がる。いろいろな廃棄物の処分場にしようというのだ。いくら物を捨てても底も見えない大穴。しかしある日、その町の空から悲劇が始まる。

これも長編にして刊行した。やはり大ヒットとなった。

 

三つ目は、街中の空中に古生物の幻影が突然浮かび上がってくる話だ。早朝にはアメーバ状だったその古生物は、昼前には三葉虫類などに進化し、やがて午後には恐竜にまでなってしまうという大スペクタクルだ。だがその後、この現象の秘密が解き明かされると……。

これも長編にして刊行した。これも大ヒットとなった。

 

私は有頂天になった。今では大ヒット作家だ。あのオーサカで見つけた不思議な文庫本。あそこからネタを拝借したことは秘密だ。しかし誰もこんな話、気づかないであろう。きっとあの本は魔法のアイデア本なのだ。これからもこの調子で売れっ子作家としてやっていけると私は確信した。

 

ある日、編集者からメールがきた。

「夜にお会いできませんか?大事な話があります」

私はなぜか嫌な予感がした。蒼白になった。

しかし落ち着かねば。なんとかなる。落ち着け。よしランチでも作ろう。私はナポリタンを作り、たいらげた。なぜか背徳的な味がした。

 

カゴシマ通りからほど近くにあるカフェの中。編集者と差し向かいで座っている。

沈黙。嫌な空気が流れている。その沈黙を破ったのは編集者だった。

「もう分かっていますよね?」

「何のことでしょう?」

私はシラを切った。

「ルカさん!大変なことですよ?あなたの剽窃疑惑がタブロイド紙にすっぱ抜かれることになったのよ」

そんなバカな?!ここであの魔法の本このことを知っている人がいるのか?そんなはずはない!

しかし編集者は無情にも言った。

「ここイタリア・ナポリでも星新一くらい知っている人はいるわ」

「徳を積む」

 早朝の寺院。ここは南大阪府内でもとくに有名な寺院、二天王寺。南大阪府大阪市天王寺区という大都会にありながら広大な境内を抱えた寺院である。普段のこの時間には静謐な空気の流れているはずの境内も、今日は騒がしい。警察が規制線を張って捜査を開始しているのだ。

 そこへ二人の男が現れた。一人は黒いコートを羽織り眼鏡とオールバックで知的な印象のある中年男性。もう一人はカーキ色のジャンパーに短髪という活発な印象の中年男性だ。

 二人が規制線の中へと入ってきた。

「おいおい、今日は勅命係には用はないよ。ただの事故事故」

 二人に向かって捜査中の刑事が悪態をついた。

「おはようございます。尼崎刑事」二人組のうち知的なほうの男が言った。

「そんなこと言うなよ、尼崎刑事。俺たち南大阪府警・捜査一課・勅命係、被害者の顔見知りよ。関係者なのよ」活発なほうの男が軽い調子で言う。

「そういうことです。被害者は鶴山君が以前職務質問をしたことのある女性だということです。そのことを鶴山君が上に相談したら、捜査するようにとの勅命がくだりました」

「そういうことですよね!右京さん!」鶴山が調子よく合わせる。

「ということで、尼崎刑事。説明お願いいたします」

「はいはい、分かりましたよ。小松右京警部殿」

 

 二人は境内の広場の中心部分にたどり着いた。そこには一人の女性が倒れている。

「ガイシャは、朝倉美弥。十七歳。一応、高校生とのこと」尼崎が説明した。

「その『一応』というのは?」

「朝倉はほとんど高校には登校していなかった。夜型の生活をして、夜はバイクで走り回っていたということだ」

「いわゆる『走り屋』ということですね」鶴山が小松に確認する。

「どうやらそのようです」

小松は遺体の隣を指さしながら言った。そこには大型のバイクが転がっていた。

「ここでこの大型バイクを乗り回していたのでしょう。境内の砂利にもタイヤ痕がしっかりと付いています。ほらこのように真っ直ぐと」

「そしてここで転倒して事故死。どう考えても事故で捜査は終了!」尼崎は軽々しく言い放つ。

「でも妙ですねぇ?なぜわざわざこんな寺の境内にまで乗り入れてバイクを乗り回す必要があったのか?」小松は人差し指を立てながら疑問を呈した。

「よっぽどお寺が好きだったんでしょうか!」鶴山が能天気に応えた。

「鶴山君が彼女を職務質問したというときも彼女はバイクに乗っていたのですか?」

「はい。そうですね。同じようなHONDAの大型バイクでした。でも至って安全運転はしていました。でもキョロキョロ何かを探している様子だったんで、職質というか話しかけたんです。やはりどこかお寺を探していると言っていましたね!お寺でバイクをかっ飛ばすのが好きだったんですよ!」

「そんな奴いるか?」尼崎が苦言を呈した。

「とりあえず事情を知っていそうな人物に当たってみましょう。行きましょう、鶴山君」小松はそう言うと鶴山を引き連れて出ていく。

「いてっ」急ぎ足の鶴山は何かに足を引っ掛ける。

「右京さん!」

「おやおや、鶴山君。これは……ハンドルのようですねぇ」

「どうしてこんなところに?」

「なるほど、鑑識に回しておきましょう。行きますよ」

「右京さん、待ってくださぁい」

 

 

 勅命係の二人は南大阪府の岸貝市まで来ていた。ここに朝倉美弥と親密だった男性がいるという。

「右京さん!ここですよ!このお寺です。この海泉寺の副住職、小半了円が生前の朝倉美弥と懇意にしていたという男です。25歳でお寺の仕事をすべて取り仕切っていて、門徒たちの評判も悪くないようです」

「不信なところはないようですね。では行ってみましょう」

 二人は山門をくぐり境内に入った。

 そこには坊主の若い男が境内をほうきで掃き掃除していた。そのとき、熱心に掃除をしていたので気付かなかったのか、腰から下げていた小さな物を地面に落とした。鶴山は即座に拾い若い男に返した。

「落としましたよ、御守り」

「ありがとうございます」

「小半了円さんですか?我々こういう者です」鶴山は警察手帳を提示した。

「南大阪府警・捜査一課・勅命係の鶴山と」

「小松です」

二人は軽く会釈をした。

「うかがっております。わざわざありがとうございます。海泉寺の副住職の小半了円です」了円は合掌し深々と頭を下げた。

「早速、朝倉美弥さんのことなんですが。お二人はどこでお知り合いになられたのでしょう?」鶴山は早々に切り出した。

「美弥とは、この当山の前の道で出会いました」

 了円は続けた。

「一年ほど前のことです。深夜に外で大きな音がしたので、私は前の道へ様子を見に行きました。すると彼女が倒れていたんです。どうやらバイクでこけたようでした」

「それで救護をなさったんですね?」小松が尋ねる。

「そうです。彼女は走り屋をしていました。その日は一人で走っていたようですが。前を野良猫が横切ったとかで、ハンドルを切って倒れたようでした。頭は打っていなかったようですが、すべって酷い擦り傷だったので、本堂に上がってもらって治療しました」

「警察へは通報しなかったのでしょうか?」小松が問うた。

「彼女が嫌がったので、しませんでした。申し訳ありません」

「いえいえ。自損事故ですし、問題ないでしょう」

「それでそこから懇意になったってわけだ?」鶴山が無遠慮に切り込んだ。

「懇意といわれればそうですが。半年くらいで定期的に会う関係にはなっていました。そして私から想いは伝えました。しかし彼女は、待ってほしいと」

「おやおや、彼女もあなたのことを想っていたのではありませんか?」

「私もそう感じていましたが。私がお願いしていた、走り屋も辞めてくれていましたし。しかし『まだあなたの隣には立てない』と」

「なるほど。しかしそれは妙ですねぇ。美弥さんは走り屋を辞めていた。なのに今回、二天王寺でバイクで暴走行為をしていた。これはどういうことでしょう?」小松は疑問を投げかけた。

「分かりません。彼女は更生したんです。そんなことするはずないんです。私のことを知りたいと一緒にいろいろな寺院を回ったり、勉強したりもしていました」

「なるほど。たとえば現場の二天王寺にもご一緒に行かれたりは?」

「ええ、たしか一ヶ月ほど前に。いろいろとお寺のことを聞かれたので教えたりしましたよ。熱心に聞いてくれていました」

「では美弥さんが誰かに恨まれているといったようなことは?」鶴山が尋ねる。

「彼女の過去のことは分かりません。しかし彼女は真面目になったんです!それがあんな暴走行為をするはずがないんです!信じてください!」了円は語調を荒らげた。

「すいません。興奮しすぎてしまいました。しかし何かがおかしいんです。刑事さん、どうか真相を突き止めてください」了円はすがるように言った。

「分かりました。もう少し調べてみることにしましょう」

小松はそう言うと、鶴山を連れて海泉寺を後にした。

 

「右京さん、どういうことでしょう?美弥はあの了円の想いを知ってバイクを辞めていた。なのに二天王寺で暴走行為の末に亡くなった。これは本当に事故?いや誰かにそそのかされて?」

「鶴山君、彼女のことをもっと調べる必要がありそうです。行きましょう」

「次はどこへ行くんですか?待ってくださぁい!」

鶴山は走って小松を追いかけた。

 

 

 ここは南大阪府南泉州市にある私立泉南学園。朝倉美弥の通っていた高校である。勅命係の二人は、その校門前に停めた車の前で下校中の生徒たちを見ていた。

「あの娘です。行きましょう」鶴山は小走りで駆け出した。

 鶴山は一人の女子高生に話しかけた。

「ちょっといいかな?」

「なに?オッサンたち?誰?警察呼ぶよ?」

「俺たちがその警察。ちょっと話を聞かせてもらえるかな?」

鶴山は警察手帳を掲げた。

「朝倉美弥さんのお友達だよね?ちょっとそのことで聞きたいことがあって。そこのファミレスまでお願いできる?青木リオさん」

 

 そしてファミリーレストランの店内。勅命係の二人はムスッとした表情の青木リオと向き合っている。

「ほら、好きなの頼んでいいから。もっとリラックスしてよ」

「うざっ」リオは茶色に染めた髪をいじりながら目も合わさず言った。

「一ついいでしょうか?」小松が張り詰めた空気を破った。

「あなたのそのカバンに付けているキーホルダー、HONDAのロゴですね?美弥さんのバイクもHONDA。そして美弥さんのバイクのキーには御守りなどたくさん付いていましたが、そのなかに同じキーホルダーが付いていました。恐らくお揃いにしたのでしょう?かなり意気投合していたのではありませんか?」

「まぁそうだけど」リオは不承不承で答えた。

「ならばその美弥さんのためにもご協力ください」

「分かったよ。それで何が聞きたいの?」

「はい。美弥さんは一年前、バイクを突然辞めてしまった。そのきっかけが気になっているんです」

「ハッキリ言いなよ。走り屋ね、走り屋。走り屋はきっぱり辞めた。美弥から突然言い出されてね。びっくりしたけど。美弥ももっと熱中するものを見つけたってこと」

「それは想い人ができたということですね?」

「なんだ、知ってるのか。そう。その男を振り向かせるために何かいろいろしてたみたいよ」

「その何かというのは具体的に?」

「よく分かんないけど『車で積むとあの人に並べる』とか言ってたなー」

「車で積む、とは?」鶴山が尋ねた。

「さぁ?配送トラックの仕分けのバイトでもしてたのかな」

そう言うとリオはおもむろに立ち上がった。

「さぁあたしも忙しいんだ。もういいでしょ?」

「では最後に一つだけ」小松は人差し指を立てながらリオのほうを向いた。

「まだ何かぁ?」

「美弥さんがあなたと最後に会ったとき、こんなことをおっしゃっていませんでしたか?徳を積むんだ、と」

リオは驚いた顔で答えた。

「ああたしかに!言ってた!そう、徳!何のことか分からなかったけど。たしかに目をキラキラさせて言ってたよ」

「ありがとうございます」小松が礼を言って、その場は解散となった。

 

 

 南大阪府警本部の捜査一課の部屋の奥まったところに勅命係の執務室はある。執務室といっても粗末な小部屋しか充てがわれていない。勅命係とはいえども普段は異端の捜査ばかりしているので窓際に追いやられているのだ。

「ヒマか?」

組織犯罪対策第五課の丸田課長が気安い表情で勅命係の部屋に入ってきた。

「ヒマじゃないですよー」

鶴山が応対する。

「例の二天王寺の事件が煮詰まってきてまして」

「あれはバイクの暴走行為の自損事故で解決したんじゃないの?」

「それが右京さんがまだ何か気になってるみたいで」

「そろそろ鑑定の結果が出てくるはずなんですけどねぇ?お、ウワサをすれば」

そこへ鑑識課の汎沢が小走りでやってきた。

「お待たせしました。右京さんの言う通りでした。このハンドル!」

「あ、俺が現場でつまづいたハンドル!」鶴山は指さしながら大声を出した。

「このハンドル、やはり強い力で根本から折れて、落ちていたようです」

 小松は満足げにうなずいた。「やはりそうでしたか。ありがとうございます。鶴山君、では行きましょう」

「行くってどこへですか?待ってくださぁい、右京さん!」

 

 

 二天王寺の境内。一人の男が立っている。

「了円さん。お待たせいたしました」

「小松さん。真相が分かったんですか?美弥は事故ではなかったということですか?」了円は不安そうな表情で尋ねた。

「いえいえ、事故ではありました。たがどうしてこういうことになったのか、あなたには聞いておいていただきたく、お呼びしました」

小松は続けた。

「まず、美弥さんが亡くなったとき。美弥さんがここで何をしていたのか?」小松はゆっくりと説明を始めた。

「そりゃバイクでの暴走行為でしょ?」鶴山が答える。

「いえ。美弥さんは境内でバイクには乗っていません。境内で暴走したとなれば円を描いたり蛇行したとタイヤ痕が残っているはずです。しかしここには門から一直線のタイヤ痕しか残っていなかった」

「たしかに現場検証のとき、そうでした」鶴山が腕を組んで首肯する。

「では美弥さんは山門で何をしていたのか?ところでこれは何だと思いますか?」

「ハンドルですか?」

「オレが蹴躓いたハンドルじゃないですか!そこに落ちてた」鶴山が言う。

「そうです。しかしただのハンドルではありません。バイクのハンドルではありません。こんな船の舵輪のような形をしていますからねぇ。ではこれは何なのか?」

おもむろに小松は山門のほうを指さした。

「これです!」

そこには山門の内壁にあのハンドルがいくつも付けられていた。そしてそのうちの一つはへし折られた跡になっていた。

「この二天王寺では、転法輪というそうです。いわゆるチベット仏教の摩尼車と同じですね」

「転法輪……」了円はそうつぶやき唖然としている。

「その転法輪に美弥さんは何の用があったんですか?」鶴山は戸惑って言った。

「美弥さんの友人・青木リオさんによると、美弥さんは『徳を積む』という言葉にこだわっていました。そしてこの転法輪は回せば回すほど功徳が積めるというご利益があるものです」

「たしかに美弥と一緒にここをお参りしたとき、この山門も興味深そうに見ていました」了円は思い返して言った。

「そしてリオさんは、こうもおっしゃっていました。『車で積む』と」

「まさか?!」

「そう、美弥さんはバイクのエンジンで転法輪を回そうとしたんです!」

「そんな?!」

「美弥さんはバイクを吹かして回転するタイヤでいっきに転法輪を高速で回す、という『徳を積む』方法を考えたんです。しかし山門は数段上がったところにあり、その段でバランスを崩してバイクを暴走させてしまい下敷きになったのでしょう」

「でもなぜそんな無茶なことを?」了円は頭を抱えながら言葉をこぼした。

「それはあなたの隣にいたかったからじゃないですか?了円さん」

「え?」

「あなたの仏僧として人を救う姿に感化され、自分も功徳を積んで隣にいたいと思ったんじゃないですか!」鶴山は了円の肩を抱きながら言った。

「そうです。知識が少なかったので間違った方向へ進んでしまったかもしれませんが、美弥さんのあなたへの気持ちは純粋だったと思いますよ。その証拠にこれを」

小松は内ポケットから何かを出した。

「これは美弥さんのバイクのキーです。HONDAのキーホルダーとともに付いている御守り。『良縁祈願』とあります。あなたも持っていますよね?二人で買ったものでしょうか。その中にこんな紙が」

そこには小さく折りたたまれた紙片があった。そこには「となりにいてもあの人のメーワクにならないためにトクをつめますように」と書かれていた。

「ううっ、功徳なんて必要なかったのに。そんなもの関係なく、いつまでも隣にいてほしかった。美弥……」

了円の嗚咽はいつまでも二天王寺の境内に響き渡っていた。

 

 

 ここは南大阪府の沿線のとある駅の近くにある小料理屋「いづみ」。勅命係の二人は事件を解決したあと、入った行きつけの小料理屋だ。

「しかし今回は悲しい事件でしたね」鶴山がビールを煽りながら言う、

「少しの意味の取り違えで起こってしまったことですからねぇ」小松は刺身に熱燗を嗜んでいる。

「それにしてもあんなハンドルをよくバイクで回そうとしましたね?」

「彼女のなかにはバイクしかなかったのでしょう。狭い世界から外へ出たとき、どう歯車を動かせばいいかも迷うものです」

「そんなものなんですね。俺ならがっちり社会の歯車になりますけどね!」

「あら、鶴山さんは警察の歯車からも外れていらっしゃるのではないの?」いづみの女将が口を出す。

「そんなぁ?!俺も警察組織の歯車の一つとして毎日頑張ってますよ!ねぇ右京さん!何とか言ってやってください!」

「おやおや、勅命係は窓際ですよ?組織に風を通すのが役割です」

「そうよ!それに鶴山さんが動かすのは歯車より回し車のほうがお似合いよ!」女将が茶化して言う。

「え?回し車?俺はモルモット?!」

「これは女将に一本取られましたねぇ。これからも僕の実検に付き合ってください」

「そんなぁ」

小料理屋いづみの温かな光は深夜まで灯っていた。

さよなら2024年回顧・対話篇

亮人::どぅおもー!2024年も一年間、お世話になりましたー!今年も楽しく話しかけてくださった皆様、ありがとうございました!!

 

使い魔・ゲンキ君::そうだガル!こんな寒風吹き荒ぶブログに来てくれるだけで有難いんだガル。

 

亮人::今年は安彦良和展やコナン展に行ったなー!

 

ゲンキ君::そうだガル。楽しかったガル。

 

亮人::文学フリマに今年も参戦したのは重要トピックやな!

 

ゲンキ君::文フリ大阪に一般参加!

 

亮人::楽しかったな〜!フォロワーさんにも会えたりしたし!

 

ゲンキ君::そしてメッチャ買ったガルな!

 

亮人::そしてまだ全部読み終わってない!

 

ゲンキ君::それはダメだガル。

 

亮人::まぁええ買い物したわ!まさに文学フリマだけに、フリマわされたねw

 

ゲンキ君::ちーん。

 

ゲンキ君::では最後に来年の目標を面白おかしく言えや(゚Д゚)ゴルァ!!

 

亮人::え?いきなり。。。

 

ゲンキ君::ちゃんと一年を綺麗に〆ろや(゚Д゚)ゴルァ!!

 

亮人::はい。

 

ゲンキ君::ヨシ!

 

亮人::来年は「大蛇ンプ」の一年にします!

 

ゲンキ君::巳年だけに?

 

亮人::そう!巳年だけに「巳達成」にだけはしたくないww

 

ゲンキ君::ムリじゃないかーい!

 

亮人::ちーんwww

 

ゲンキ君::アカン!

 

亮人::ヘビだけに、抜け殻になるわww

 

ゲンキ君::なんでやねーん!

 

亮人::まぁヘビの抜け殻は財布に入れるとお金が貯まるから!財布もヘビーになりますぞw

 

ゲンキ君::またそんな。

 

亮人::ヘビだけにトグロを巻いて、クダも巻きますwww

 

ゲンキ君::メッチャクチャだガル!もうやめさせてもらうわん!

 

亮人::とにかく、来年もますます活動的にいきたいね!

 

ゲンキ君::皆様と一緒に楽しい一年にしたいガルな!

 

亮人::楽しい年末年始をお過ごしください!!よいお年を〜!!

 

 

 

ゲンキ君::ガルガル!!!

安彦良和展

デート行ってきました!
まずは三宮へ。久々だから阪神からJRの待ち合わせ場所行くのに少し迷ったわ。
合流して神戸市バスで、県立美術館前。
まずはランチ。JICA食堂。日替わりランチが南洋島嶼料理だったのでそれを頼む。中高生の部活動っぽい体験学習も来てた。賢そうな学校だった。
兵庫県立美術館へ。安彦良和展。すごい量の展示だった。子供時代の文机から原画や絵コンテやセル画まで。ほんまに美麗な絵の数々だった!
ミュージアムショップ。ファイルとポストカード。安彦良和アクキーも。
帰りに美術館の窓口で、SNS投稿キャンペーンでポストカードもらった。あと日傘を預けてたの忘れかける。日傘係めー!
バスで三宮へ。
うちのお盆のお供えを探しにお土産屋。神戸プリンタルトクッキー。
ガチャ屋に行ったり、三宮界隈をうろうろ。
さんセンタープラザのパスタ屋さんで、四種のチーズピザと淡路牛ボロネーゼ!ドリンクバーも飲みまくり!ケーキも!おいしかった!
さんセンタープラザ駿河屋など少し回る。
デート解散して、難波へ。
難波ブックオフ

『ロシア・ソビエトSF傑作集(上)(下)』を発見!まさか1冊数千円するプレミア価格本が普通に棚にあるとは。
そして帰宅。久々のめっちゃ楽しいデートだった!

草上仁『ホーンテッド・ファミリー』

あらすじ
(略)

亮人::どぅおもー!漫才風読書感想で〜す!

使い魔・ゲンキ君::今回は草上仁先生の『ホーンテッド・ファミリー』だガル!

亮人::今はなきソノラマノベルスの一冊やな!朝日ソノラマ社のソノラマ文庫とかソノラマノベルスとかライトSFの良作がいっぱいあったのに、いつの間にかなくなってて悲しみ。

ゲンキ君::たしかに良作が多かったガル。

亮人::では、あらすじ行くで。主人公は女子高校生の沢田ゆかり。父親が勝手にマンションを売っぱらって、中古宇宙船《マリー・セレステ号》を買ってきた。家族みんな宇宙船で暮らすことになった。けどそこで様々な怪異が! ?

ゲンキ君::ということでホラー&コメディな宇宙SFだガルな!

亮人::しかし幽霊だけではない違和感あるなーとは思ってたけど、まさかこんな真相が!?よくこんなゴーストだけどSFなオチを思いついたな!?さすが草上仁先生やわ!

ゲンキ君::伏線もスゴイ回収されてるガル!

亮人::全部がこの人に繋がってたんだという快感やな!まさかアレがアレで、しかもアッチでアレをやってたとか!どういう発想力でこんなの思いつくんや!?

ゲンキ君::SFとしてもホラーコメディとしても楽しめる一冊だったガル!

亮人::ところでこの漫才風の台本もタブレットにしようと思うねんけど?電子に。やっぱり時代は電子書籍か。いややっぱり紙がええか?紙の方が目に優しいし。台本っていうくらいやから、紙の本でええか!じゃあ「本でっと」w

ゲンキ君::「ほーんでっと」じゃないガル!ホーンテッドについて語れガル!

亮人::まぁまぁ。ところでこの前、友達と待ち合わせしたんやけど。少し遅刻したのよね。ほんの少しの遅刻やのに、めっちゃビンタされた!百裂張り手w

ゲンキ君::ストリートファイターエドモンド本田!ってそれは「ほーんだっと」じゃないかーい!ホーンテッドにして!

亮人::はいはい。また別の友達と待ち合わせしたんやけど、両手に腕時計してきてて、しかも攻撃的な選手なのに背番号4のユニホーム着てたw

ゲンキ君::ってそれは「(圭佑)本田と」じゃないかーい!サッカー日本代表!ホーンテッドにして!本田から離れて!

亮人::へーへー。また別の友達と待ち合わせしたんやけど、待ち時間に飽きて槍でトンボを斬ってたのよ!さすが徳川四天王w

ゲンキ君::ってそれは本多忠勝!待ち合わせの街中で、愛槍・蜻蛉切を使うなガル!「本田から離れて」って言ったけど「本多っと」もダメ!ってかなんで戦国武将と会ってるガル?

亮人::戦国武将はもちろん昔の人。だから幽霊やね!これがホントの「ホーンテッド」ってねw

ゲンキ君::もうやめさせてもらうわん!ガルガル!!

C・M・コーンブルース『クリスマス・イヴ』

あらすじ
(略)

亮人::どぅおもー!漫才風読書感想で〜す!

使い魔・ゲンキ君::今回はシリル・M・コーンブルースの『クリスマス・イヴ』だガル!

亮人::最高やったわ!1950年代のハヤカワ・SF・シリーズ、いわゆる銀背やな!しかも銀背の初期のハヤカワファンタジイ時代や!めっちゃ古くて臭い本やな!

ゲンキ君::臭いことないし、古臭くないガル!

亮人::長年探してた本なの!一昔前は5000円前後してたけど、最近はキンドル化もされてるから、数千円で手に入るようになって、やっと手に入れたんや!数千円でも高いレア本やけど!もはや新刊や!

ゲンキ君::新刊ではない古臭本だガル!

亮人::アメリカは第三次世界大戦に降伏して、ソ連と中国がアメリカ本土を分割統治する話やな。これが書かれたころは冷戦が現実のもやったんやな。

ゲンキ君::突然ラジオから大統領の「抵抗せずに占領軍に従って下さい」は衝撃的だガル。

亮人::そして田舎町にもソ連軍が。はじめは占領軍も穏当だったが、次第に統制が厳しくなってきて少しでも逆らうと市民でも処刑されるんや。

ゲンキ君::しかしアメリカ反撃の切り札・水爆搭載人工衛星を発見するガル!

亮人::一大反攻作戦開始や!

ゲンキ君::合言葉は「クリスマス・イヴ」!

亮人::設定は古いSFやけど、熱い展開はちゃんと今でも通じるねんな!

ゲンキ君::いいSF!隠れた名作ガルな!

亮人::アメリカ万歳!USA!USA!

ゲンキ君::アメリカが主役とはいえ、アメリカに肩入れしすぎだガル!

亮人::アメリカが好きやからね!牛丼とか寿司とか炒飯とか!

ゲンキ君::ってそれは米国じゃなくて米穀じゃないかーい!

亮人::まぁソ連軍は強いから。射撃が上手いし。的から「逸れん」って!

ゲンキ君::逸れてくれー!

亮人::まぁまぁ冷戦になろ!

ゲンキ君::冷静になる、だガル!冷戦になったら漫才やってられないガル!

亮人::はいはい。このままでは「第三次世界大戦」どころか「大惨事」になってまうな!

ゲンキ君::もう大惨事になってるガル!分かってたら、ちゃんとして!

亮人::そやな。クリスマス・イヴだけに「ちゃんとせいや(聖夜)」ってね!

ゲンキ君::もうやめさせてもらうわん!ガルガル!!

谷甲州『戦闘員ヴォルテ』

あらすじ
(略)

亮人::どぅおもー!漫才風読書感想で〜す!

使い魔・ゲンキ君::今回は谷甲州先生の『戦闘員ヴォルテ』だガル!

亮人::わが愛しの「徳間デュアル文庫」や!

ゲンキ君::徳間デュアル文庫は、結構いいSF小説を出してくれてたレーベルだったガルな。

亮人::なのにいつの間にか自然消滅!せめて別れの言葉は言ってーな!

ゲンキ君::まぁ今は徳間文庫が新旧のSFとミステリに力を入れているガルから!

亮人::でもやっぱりデュアルなんよな!デュアル、スタンバイ!

ゲンキ君::アホなこと言ってないで、あらすじ紹介するガル!

亮人::これ前知識なしに読んだんやけど、《航空宇宙軍史》シリーズの一部だったのね。

ゲンキ君::航空宇宙軍によって作られた遺伝子工学サイボーグのプロトタイプ、ヴォルテが主役だガル。

亮人::しかしヴォルテは謎の声に導かれて逃亡。追う航空宇宙軍の後藤大尉。ということで各話で様々な場所での逃亡劇と死闘が描かれるんやな。

ゲンキ君::ヴォルテの超運動能力と超回復力で何とか死線を切り抜けるけど、極寒や劣悪な環境での戦闘ばかりで本当に読んでいて息が詰まるガル。

亮人::この緊迫感は、さすが谷甲州先生やな。ラストは一応追っ手に大打撃を与えるけど、まだゴールにはたどり着いてないやん。ぜひともヴォルテの最後の到達地まで描いてほしいわ!

ゲンキ君::そうだガル!

亮人::でもこの極寒の描写ってほんま真に迫ってたな。「いやー極寒のあとは風呂に限る!あー極楽極楽!あれ?湯の中に何かあるぞ?記号や!「やや強く」って書いてある!やや強くの記号が湯の中にあった!」

ゲンキ君::ってそれは「銭湯inフォルテ」じゃないかーい!そもそも「やや強く」は「フォルテッシモ」で、「フォルテ」は「強く」じゃないかーい!そして厳密には「銭湯inフォルテ」じゃなくて「フォルテin銭湯」じゃないかーい!

亮人::まぁまぁ!「そして風呂上がりはパフェよね!パフェの上にフランスの尖ったタワーが乗ってる!」

ゲンキ君::ってそれは「尖塔inパルフェ」じゃないかーい!パフェのフランス語のパルフェじゃないかーい!そして厳密には「尖塔onパルフェ」じゃないかーい!

亮人::はいはい!「あ!あんなところにウサイン・ボルトが!観光してる!引率の人についていってる!」

ゲンキ君::ってそれは「先導inボルト」じゃないかーい!もうほぼ「戦闘員ヴォルテ」の原形がないじゃないかーい!そして厳密には「ボルトwith先導係」じゃないかーい!

亮人::いちいち、うるさいなー。厳密厳密って!そんな細かいことはムリや!なんせオレは、戦闘サイボーグならぬ「単細胞ーグ」やからw

ゲンキ君::もうやめさせてもらうわん!ガルガル!!

さよなら2023年回顧・対話篇

亮人::どぅおもー!2023年も一年間、お世話になりましたー!こんな不定期後進もとい不定期更新ブログに来てくださった皆様、ありがとうございました!!

使い魔・ゲンキ君::そうだガル!こんな寒風吹き荒ぶブログに来てくれるだけで有難いんだガル。

亮人::今年はコロナの規制がなくなったな。

ゲンキ君::そうだガル。イベントも復活してきたガル。

亮人::文学フリマに今年も参戦したのは重要トピックやな!

ゲンキ君::文フリ大阪に一般参加!

亮人::楽しかったな〜!フォロワーさんにも会えたりしたし!

ゲンキ君::そしてメッチャ買ったガルな!

亮人::本の重さは幸せの重さよ!

ゲンキ君::getした本の内容もメッチャ良かったガル。

亮人::ええ買い物したわ!まさに文学フリマだけに、武運フリ絞ったよw

ゲンキ君::ちーん。

亮人::来年は出店する側にもいきたいね!

ゲンキ君::なんと!?

亮人::結構、創作もしていってるしな!

ゲンキ君::ほうほう。

亮人::まぁパロディ系ばっかりやけど!

ゲンキ君::ちーん。

亮人::迷作を量産中w

ゲンキ君::迷作かい!

亮人::これからも地道に書いていきたいと思います。

ゲンキ君::では最後に来年の目標を面白おかしく言えや(゚Д゚)ゴルァ!!

亮人::え?いきなり。。。

ゲンキ君::ちゃんと一年を綺麗に〆ろや(゚Д゚)ゴルァ!!

亮人::はい。

ゲンキ君::ヨシ!

亮人::来年の目標は「長編小説の完成」だ!

ゲンキ君::長編執筆?

亮人::そう!辰年だけに「目標タツ成」したいですww

ゲンキ君::ムリヤリじゃないかーい!

亮人::でも竜だけに「竜頭蛇尾」になりそうwww

ゲンキ君::尻すぼみじゃないかーい!

亮人::尾だけに、シッポを巻いて逃げるわww

ゲンキ君::なんでやねーん!

亮人::嘘です、ゴメンナサイ。タツ人になるまで修行します。リュー行に流されず頑張ります。リュー学してでもリュー儀を貫きます。

ゲンキ君::またそんな。今日もえらい絡んでくるな?

亮人::でもリュー言飛語は流しまくりまーすwww

ゲンキ君::メッチャクチャだガル!

亮人::だって辰だけに、おふざけは(ドラ)ゴン語道断やなw

ゲンキ君::もうやめさせてもらうわん!

亮人::とにかく、来年もますます活動的にいきたいね!

ゲンキ君::皆様と一緒に楽しい一年にしたいガルな!

亮人::絶対に素晴らしい一年になるよ!来年も拙ブログをよろしくお願いいたします!!

ゲンキ君::楽しい年末年始をお過ごしくださいガル!!

亮人::では、よいお年を〜!!

ゲンキ君::ガルガル!!!

秋の日は

一六〇三年、徳川家康は現在の静岡県静岡市駿府に幕府を開いた。
そこで家康は、駿府で大成した新しい儒学・学問を奨励した。

その学問は、まず第一に家族を中心とした関係性を重視した。家族が一体となって家門を守り立てる。そのために、食饌の前では家族全員が勢揃いとなることが奨励された。そして家族全員で《家族に乾杯》と感謝を捧げることが習慣化された。

また服装髪型も従来の形から変化した。
服装は裃や袴から改められ、上下一体の仕事着のような服装が奨励された。とくに紐で結んだ胸当ての付いた洋袴のような衣服が流行した。 藍染めされた綿生地は頑丈で、あらゆる場面で重宝されたので《大場覆う》と呼ばれた。
髪型も髷は改められ、巻き毛が奨励された。電熱できつく縮毛する技術は、三河吉良氏と奥州吉良氏が同時多発的に流行させたため《吉良吉良亜風狼》と呼ばれ好まれた。

また駿府幕府は鎖国政策を実施したものの、西洋学問の収集にも力を入れた。欧州に使節団を派遣し、そこで集めた知見を《世界仰天見聞録(にゅーす)》としてまとめた。
西洋で収集した知見は京都に新設された学問所で広く人々に教育された。京都の人々はこの学問所を親しみを込めて《えぇすたぢお》と呼んだ。この学問所こそ後の「京産大」である。京産大の理念である《道程無学》は「学問の道程のはじめは誰もが無学であり、そこから進むべし」という意味で、あらゆる人に学問の門戸は開かれているということを示しており、今も京産大に受け継がれている。

これが駿府時代の新しい学問《駿河学》の全貌である。

SF文学振興会『SFG vol.5』

前々から文フリで見かけてたけど、今回「特集:宇宙」とインタビューゲストが気になってgetしてみた!これが凄いクオリティ!メッチャよかった!古今のSF雑誌商業誌よりも隅々まで読みどころばっかり!大森望先生のインタビューも興味深かったし、林譲治先生✕春暮康一先生の宇宙SF対談も良かった。漫画家つばな先生のインタビューも面白かったし。メインの宇宙SFのレビューの数も圧巻!読み応えあった!クロスレビューや大学SF研の話も楽しい。フォロワーのもといもとさんの短編も大収穫だったし!