くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

グレゴリイ・ベンフォード「井戸の虫」

(SFマガジン1996年5月号収録)

今回も、雑誌に掲載されたまま本になってない未書籍化SF短編。
クレアは個人所有の鉱石運搬宇宙船のパイロット。しかし自転車操業で借金が。そこに舞い込んだ太陽コロナのアーチの頂点で発見された「ワーム」の調査依頼。はたして「ワーム」とは何なのか?調査の結果、真っ黒な塊「ワーム」とは「ワームホール」だった。しかも負の質量を持つワームホール。つまり斥力があるワームホール。周囲を吸引しているわけではないので、直ちに影響はない。しかしクレアは借金返済のため独断でワームホールの捕獲を試みる。太陽に接近するので超高温。しかも調査では静止軌道だったので重力は大丈夫だったが、捕獲には太陽への接近が必要。超高温と強大な重力がネック。それに対処するアイデアの鮮やかさ!手に汗握る展開の連続!これはスゴイ!ワームホールを一応確保した後の満身創痍で、どうやって太陽から脱出するかも、スペクタクル!これは良いハードSF!熱い!太陽の迫真の描写とスリリングな展開が上手く噛み合って、これぞハードSFの醍醐味!ハードSFはいいぞ!
ってかこの《太陽系オデッセイ》って企画いいね!毎号、太陽系の各惑星をフィーチャーして、惑星の解説と翻訳SFを紹介する。メッチャ楽しい企画だ!
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