くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

スティーヴン・バクスター『時間的無限大』

時間的無限大 (ハヤカワ文庫SF)

時間的無限大 (ハヤカワ文庫SF)

あらすじ
人類は、木星軌道上に設置したワームホールをタイムマシンに転換すべく奮闘していた。そんな時、そのワームホールから未来人の船が現れた。乗っていたのは〈ウィグナーの友人〉と名乗る人々で千五百年未来の地球を支配する異星種属クワックスを滅ぼすためにやって来たのだという。だが、その裏には途方もない意図が。ハードSFの新たな旗手が、千五百年の時に隔てられた二つの太陽系の抗争を壮大に描いた傑作長篇。

処女長篇である『天の筏』は去年読んだが、アイデアが素晴らしいだけで話が全く硬かった。だが、本作は全部素晴らしい!ワームホールを亜光速移動させウラシマ効果を利用してタイムトンネルを作る。現代科学でタイムマシンを作る方法としては一番現実的な理論。これを十全に用い、人類が異星人クワックスに圧制を強いられている西暦5000年代と現代の3500年代がつながり、未来から歴史を変えようとする《ウィグナーの友人》なる謎の人類集団も到来。この設定だけで燃えるが、ウィグナーの友人の謎計画、そして主人公マイケルと宇宙の行く末、気の遠くなるような壮大さで痺れた!!時間的無限大まで行っちゃう、想像力の限界を試されたようで知的興奮!!あと生体宇宙船「スプレイン」や恒星破壊重力波レーザー「スターブレーカー」など、小道具の数々も熱い。これは《ジーリー・クロニクル》を全部読まねばいけませんわ!!!
★★★★★