逃げゆく物語の話 ゼロ年代日本SFベスト集成<F> (創元SF文庫)
- 作者: 大森望
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2010/10/28
- メディア: 文庫
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あらすじ
「西暦2000年を境に日本SFは不死鳥のように復活し新たな春を迎えた。新しい動きや時代の空気を実感していただければさいわいです。本巻には、現代を舞台にした“すこし・ふしぎ”系の物語を軸に、幻想小説や寓話系のものも含め、時間を扱ったSFや、世界の成り立ちをめぐる奇想小説を収録しました。現代SFの豊かな広がりと多様性を示す12編をお楽しみください。」─大森望
《S》が本格SFで《F》が奇想SFということで食指が動かず《F》だけ放置してたけど、間違いでした。こちらも質の高いSF作品が存分に楽しめた。「冬至草」はSF的な話の展開がなく淡々と新種の草の話をしてるだけなのに惹き込まれる、かなり特異な空気感。「第二箱船荘」は、北野勇作の最近の再躍進を改めて感じさせる面白さ。「予め決定されて〜」は馬鹿な1発の発想を真面目に計算ずくで書いているのが面白い。「ある日」と「闇が落ちる」は既読なので割愛。「闇が」は名短篇だけどね。表題作はゼロ年代を締めくくるにふさわしい物語のための物語。
- 恩田陸「夕飯は七時」
- 三崎亜記「彼女の痕跡展」
- 乙一「陽だまりの詩」
- 古橋秀之「ある日、爆弾がおちてきて」
- 森岡浩之「光の王」
- 山本弘「闇が落ちる前に、もう一度」
- 冲方丁「マルドゥック・スクランブル“-200”」
- 石黒達昌「冬至草」
- 津原泰水「延長コード」
- 北野勇作「第二箱船荘の悲劇」
- 小林泰三「予め決定されている明日」
- 牧野修「逃げゆく物語の話」
★★★★☆