くじら座タウ星府立大学SF研究会

主に読書(SF中心)について書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。

麻耶雄嵩『メルカトルと美袋のための殺人』

メルカトルと美袋のための殺人 (講談社文庫)

メルカトルと美袋のための殺人 (講談社文庫)

あらすじ
ウラジオストクからモスクワへ向かうシベリア急行。その車内で作家・桐原剛造が殺された。死亡推定時刻、同乗者達には食堂車で夕食中というアリバイが。密室殺人から奇妙奇天烈な不可能犯罪まで、銘探偵メルカトル鮎と推理作家・美袋三条が空前絶後の推理力で事件の真相を看破する!新本格推理傑作集。

亮人::どぅおもー!漫才風読書感想でーす!
使い魔・ゲンキ君::今回は、メルカトル鮎のシリーズの短編集『メルカトルと美袋のための殺人』だガル!
亮人::シリーズ第一作の『翼ある闇』を読んで面白かったから他の麻耶作品も読みたくて。でも第二作目の夏と冬のナンチャラとかいうのが手に入らへんのよなー。ということで、その辺を飛ばして、短編集を読んだ!
ゲンキ君::『翼ある闇』でのメルカトルは、途中参加で途中退場という中途半端感あったけど、本書では終始キレッキレの推理力だったガル!
亮人::そして外道さでもキレッキレやったわw
ゲンキ君::探偵として如何なものかと思うほど、外道だったガルね。
亮人::本当に『翼ある闇』のメルカトルと同一人物なんか??まさに傍若無人!でもなぜか憎めないのは「最後の事件」を知ってるからやんなー。
ゲンキ君::推理がキレてるからって、この外道さは許していいのかガルw
亮人::でもこれが、もっとこのシリーズを読みたくなる癖になる魔味なんじゃ~!
ゲンキ君::では各短編を見ていってみよう。

  • 「遠くで瑠璃鳥の啼く声が聞こえる」

亮人::初っ端からヤラレタ!読了直後はこんな「信頼できない語り手」って反則スレスレやないかと思ったけど、筋は通ってるし、細かい事はどうでもよくなってくる魔味があるわ。
ゲンキ君::ヒトメボレした女の子が密室で死んでいた。密室だという証拠は美袋自身の記憶。しかし誰かに殺されたのか?という話ガル。
亮人::まさか、あのシーンがこんな作用をして、密室になるとはね。こんな、やりきれない恋もあるんやね。
ゲンキ君::悲しい話だったガル。

  • 「化粧した男の冒険」

亮人::メルカトルの傍若無人っぷりが光るw 自分の予定が殺人事件に遭遇したことによって狂わされたからって、死体に唾を吐きかけたり。外道すぎる!
ゲンキ君::殺された男に、ド派手な化粧が施されていた話ガル。
亮人::木の葉を隠すなら森の中、口紅を隠すならド派手な化粧の中。面白い事件やった!そして終わり方もメルカトルの外道が光ってたし!こんなヒドイ推理モノはそうそうないやろ!

  • 「小人閒居為不善」

亮人::探偵事務所で暇なメルカトル。ってか、あんた事務所持ってたんかい!?
ゲンキ君::トラブルを抱えてそうな人にダイレクトメールを送っておいたという用意周到なメルカトルの話ガル。そして来る依頼人
亮人::依頼人との対話の中で判明する、どんでん返し。またヤラレタわ!
ゲンキ君::室内での会話劇だけで、これだけスリリングな物語を展開するのは、さすがガル!
亮人::それにしてもメルカトルを暇にしてしまうとスグ外道なことしよるなw

  • 「水難」

ゲンキ君::旅館。十年前、修学旅行生が大雨による土砂崩れに巻き込まれる災害。そして現在、その修学旅行生の生き残りが同じ地で殺される事件が発生するガル。
亮人::ってか悲しい事件はいいとして、幽霊がおることを前提として話が進んでてビックリやわ!
ゲンキ君::何でもアリのメルカトル鮎シリーズだガル!
亮人::その辺のバランス感覚も絶妙で癖になる作風やわな。

ゲンキ君::自分が暇つぶしに書いたミステリを美袋の名義で発表しろと強要するメルカトル。しかもメルカトルらしく、ギチギチの犯人当てのミステリ小説だガル。
亮人::こんな偏執狂的なミステリ、オレの手には負えなかったわw
ゲンキ君::本当にいやらしい小説だガル。
亮人::そして相変わらずメルのオモチャにされる美袋。なんで美袋はミステリ作家という忙しい身でありながら、メルカトルなんて手間のかかる男と友達を続けてるんやろ?w

  • 「彷徨える美袋」

ゲンキ君::何者かに襲われ森に放置される美袋。そして辿り着いた小屋で殺人事件に巻き込まれる話ガル。
亮人::実はメルカトルが事件が起きそうな所を嗅ぎ付けて、それに巻き込まれるように美袋を配置しただけやってんな!?美袋を殴って森に配置!
ゲンキ君::まさかそこまでするか!?この人でなし!!
亮人::このノリノリのメルカトルw なんでここまでされて美袋はメルカトルと友達を続けてるんだろ?w

  • 「シベリア急行西へ」

ゲンキ君::シベリア鉄道で殺人事件に巻き込まれるメルカトルと美袋の話ガル。
亮人::ここまでカッチリと計算されたフーダニットは気持ちがいいね!さすが京大の推理小説研究会での犯人当て企画とかで腕を鳴らしてただけあるわ。
ゲンキ君::しかし、この殺人の動機が凄いガルね。
亮人::このエグい動機をサラッと最後に書くやり方、いいねー!癖になるわw
ゲンキ君::ということで、これで全短編だガル。
亮人::ところでオレもこれからは探偵を名乗ることにするよ!!
ゲンキ君::なんで急に探偵だガル?
亮人::オレのことはこれからは「may探偵・モルワイデ香魚」と呼んでくれ!!
ゲンキ君::またそんな「銘探偵メルカトル鮎」をパクったような。。。
亮人::だってモルワイデは何をやっても許されるしな!!
ゲンキ君::なんでだガル?
亮人::モルワイデだけに「免責」がいつも得られるw
ゲンキ君::たしかに地図の表記方法において、メルカトル図法は角度が正確な図法なのに対して、モルワイデ図法は「面積」が正確な図法だガル!?
亮人::面積だけに、広~い心で許してねw
ゲンキ君::もうやめさせてもらうわん!ガルガル!!!

収録作

  • 遠くで瑠璃鳥の啼く声が聞こえる
  • 化粧した男の冒険
  • 小人閒居為不善
  • 水難
  • ノスタルジア
  • 彷徨える美袋
  • シベリア急行西へ

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