くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

横溝正史『扉の影の女』

扉の影の女 (角川文庫 緑 304-26)

扉の影の女 (角川文庫 緑 304-26)

あらすじ
築地の橋下で、若い女の変死体が発見された!被害者は鋭い帽子の留め針で首筋を一突きにされ、そばには謎めいた手紙の切れはしが……。
金田一耕助の事務所を訪れた依頼人の女性は、この事件の目撃者だった。だが、その供述によると、犯行現場は西銀座にある人けのない路地だという。俄然、闘志を燃やした金田一は事件解決に乗り出していった。
金田一耕助の日常生活を浮き彫りにした異色作。ほかに「鏡が浦の殺人」を収録。

亮人::今年二冊目の金田一耕助です!
使い魔・ゲンキ君::フォロワーさんが、『扉の影の女』は金田一の日常生活に萌えるって仰っていたので、手にとってみたガル!
亮人::250ページの「扉の影の女」と100ページの「鏡が浦の殺人」、二篇収録やね。
ゲンキ君::まずは「扉の影の女」だガル。
亮人::銀座の路地の奥の曳込稲荷で、女がハットピンで首を刺されて殺される。そして発見者である被害者の恋敵が、自分に疑いがかかりそうだから金田一に依頼を持ち込む。
ゲンキ君::登場人物がみんな魅力的ガルな!
亮人::そうそう!依頼人は健気だし、三角関係の真ん中の男はボクサーで好青年だし、経済界の成り上がりの人も出てくるけどイヤな印象はない。
ゲンキ君::金田一の弟子の多門修も出てくるガル。
亮人::『支那扇の女』から登場した、アウトローだけど金田一を慕っている有能な部下やね!作中ではワトソン役って書かれてたけど、どちらかというとベイカー街遊撃隊(少年探偵団)みたいな。いいキャラクタなんよ!
ゲンキ君::しかしキャラクタが充実してるのと裏腹に、ミステリとしては残念なオチなんだガル。
亮人::犯人が「謎解きを始めるまで名前も出てこなかった小さな挿話に出てきた人」って。これはヒドイ!
ゲンキ君::全くミステリとしてフェアじゃないガル!
亮人::本格ミステリではなく、二時間サスペンスっぽいよなあ。
ゲンキ君::まぁ読み所はミステリ的な部分ではなくて、金田一の活き活きとした日常だガル!
亮人::スグにお金がなくなって、大家さんに借りに行っちゃうwwでも大仕事が入って懐が温かくなったらスグに多めに返してくれるって分かってるからとアッサリ貸してくれたり。
ゲンキ君::金田一の人柄人望がうかがえるガル。
亮人::あと朝食はトーストとサラダを自分で用意していたり、証言を聞くのをソッチノケでステーキをむさぼり食ってたり、いちいちカワイイ!
ゲンキ君::金田一耕助シリーズは因習の残る閉鎖村社会のイメージだけど、金田一耕助自身はメッチャ都会派だガル!実はアメリカ留学してた過去もあったりするガルしね。
亮人::あと時代を感じたのが「ヒロポン」w
ゲンキ君::戦後スグは普通に薬局とかでも流通してたっていう覚醒剤の一種ガルね。
亮人::同性愛者が青少年を手篭めにするためにヒロポン中毒にさせてたり、いろいろとヒドイ。
ゲンキ君::同性愛のことを、異常性愛患者とも言ってたガル。
亮人::すごい時代やんね。
ゲンキ君::お次は「鏡が浦の殺人」だガル!
亮人::金田一耕助、今回は避暑のためビーチへ。そして懇意の宿のマダムに頼まれて、ミスコンの審査員をしたりw
ゲンキ君::イヤイヤやってますって雰囲気を出してたけど、実はノリノリだったガルねw
亮人::ここでもお茶目な金田一が出てました!
ゲンキ君::殺人事件の方も、こっちは一応ミステリの形にはなってたけど、またまたヒドかったガル!
亮人::まず殺人の動機がヒドかった。
ゲンキ君::ターゲットを殺す方法の「練習のための殺人」とか、もうメチャクチャだガル。
亮人::しかもラストで犯人を追い込む金田一が、「証拠を積み上げて犯人を理論的に追い詰める」のではなく、「実は被害者が犯人のことを書いてる手紙が見つかりました、というブラフで犯人が突撃してくるのを待つ」って。金田一耕助先生、ちゃんと探偵してください!
ゲンキ君::まぁ金田一もバカンスで来てたから、手っ取り早く事件を終わらせたかったんじゃないガルか!?w
亮人::そんな名探偵アリかいな!!

  • 扉の影の女
  • 鏡が浦の殺人

★★★☆☆