- 作者: 梶尾真治
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1991/08
- メディア: 文庫
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あらすじ
はたして人類は最初から神に選ばれし者なのか?他の動物が人類にとって代わっていたことはなかったのだろうか…。1億2千万年前、中生代白亜紀の頃、知性珠の力を借り、自分たちの種族の未来をかいま見た恐竜ラウレンティスは、自ら地球の首長となることを拒絶した…。表題作をはじめ、遡時人・時尼との純愛を描いて、第2回SFマガジン読者賞を受賞した「時尼に関する覚え書」など多彩な作品8篇を収録する。
カジシン先生の作品集。表題作と「時尼に関する覚え書」の二大名短編は既読。表題作は、知恵の果実を前にした恐竜が見た未来が素晴らしい。「時尼」は、某パクリ作品*1とは比べ物にならない傑作のロマンチック時間SF。この名作群をアタマと終わりに配置して、真ん中にはひっどい作品を挟むという采配には驚きだよw特に「あぶきっちん」はツツイ先生の「最高級有機質肥料」とはまた違ったエグさが…「無実の報酬」もツツイ風のドタバタ。違った読み味の作品では「芦屋家の崩壊」の、「午後の恐竜」と類似性がありつつもノスタルジックな読後感が大好き。いい作品集だった。
- 地球屋十七代目天翔けノア
地球がなくなって800年。各星星に移住した地球人の末裔たちに、地球の思い出を届ける興行・地球屋の新十七代目の初仕事。
- 恐竜ラウレンティスの幻視
恐竜ラウレンティスの前に、天から知恵の果実が授けられる。果たしてラウレンティスは、その果実を食べて地球の覇者になるのだろうか?
- 発電の日
家の事はなんでも脳波でできるようになった未来の社会。その代わりに電力は逼迫。なので定期的に「電力の日」が設けられ、人力で発電して社会に奉仕しなければいけない。しかし妻は、発電自転車こぎをしないでも発電を免除される。どんな秘密で免除されるのか?
- あぶきっちん
志保は、子供のころからのゲテモノ食いが講じて、臨床検査医師になり患者の患部を食すのが趣味。今夜も腫瘍をくすねてきてフランス料理にして食べていたが、そんなアブノーマルなキッチンに「突撃となりの晩御飯」がイキナリやってきて。。。
- 無実の報酬
男にも出産の痛みを共有させて、親の自覚を持たせるという、男女平等法が成立。しかし主人公は、全く身に覚えのない父親容疑で連行され、ムリヤリ出産の痛みを執行されることに。
自殺未遂でこん睡状態の夢の中で、サッちゃんという少女に出会う。はたして主人公に生きる意味を与えてくれたサッちゃんとは何者?
- 芦屋家の崩壊
代々続く古い家屋。嵐の夜、その芦屋家に御先祖様がやってくる。家が見せる幻覚の正体とは?
- 時尼に関する覚え書
不思議な女性との出会いと別れ。時を超えるラブストーリー。
★★★★☆
*1:『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』のことね