- 作者: 小松左京
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 1989/12
- メディア: 文庫
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あらすじ
二十一世紀の地球。フジ・ナカハラは、精神の再生を未来に求めて、フロリダにある冷凍睡眠所で無期限の冷凍睡眠に入った。しかし、三千五百年後に海王星の衛星トリトン上のサイボーグ病院で覚醒した彼が目にしたものは、定向進化したにすぎない人類の現実だった。人類は再び旅立とうとしていた。可能性のまたたきを求め、フジは、人類は、どこへ行きつくのか…。表題作ほか、巨匠が描くハードな未来史五篇。
表題作がオールタイムベスト級の作品ということで読書。以下、各短篇感想。
- 宇宙鉱山
未知の知性体の遠大な建造物に思索をめぐらせるビジョンは、堀晃の「太陽風交点」の始祖かもしれない。ショートショートくらいのサイズながら読み応え充分。
- 飢えた宇宙
オチでズコーってなった。これはSFとして如何か?恒星間宇宙船でオチが「吸血鬼」って…。
- 宇宙に嫁ぐ
処女認定とか未来描写に現実味がない。でもラストの男女のあり方については素晴らしい。
- 星殺し
うーん。ホモ版ソラリスという感想しか出てこないなあ。
- 再会
遠未来の異なる知性の邂逅は、今なら小川一水が書いてもおかしくないスケール。素晴らしい。
- 神への長い道
前半やや冗長に感じた。人類の進化との対比として退廃を書かなければいけないのは分かるが、退廃描写は退屈だ。後半の人類ひいては全宇宙の進化のビジョンは素晴らしいの一言!クラークの『幼年期の終り』も人類の新たな階梯を描いているが、引けをとらないばかりか更に上を行く宇宙観に感動すら覚えた。「宇宙よ……しっかりやれ!」はSF名台詞だ!
★★★☆☆