くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

石原藤夫『タイムマシン惑星』

あらすじ
惑星開発コンサルタント社の辣腕調査員ヒノとシオダは、恐怖のうたうロボット・アールを従えて、《タイムマシン惑星》へとおもむいた。そこでは、10のマイナス5乗グラム以下という極小ブラックホール、ミニミニ・ブラックホールを産出するのだ。ミニミニ・ブラックホールの効果は信じがたいもの――なんとタイムマシンの作用がはたすのだ。そして、ヒノとシオダがくだんの惑星へ近づくと、はたせるかな未来の“ヒノシオ号”に遭遇する。しかし、それは悪漢宇宙人ベテルギウス人の手によってコッパ微塵にされたのだった。あやうし“ヒノシオ号”!!

惑星開発コンサルタント社のヒノとシオダのコンビが様々な星の生態系を調査する《惑星シリーズ》。普通は短篇集だけど、今回は長篇。一応「ブラックホール惑星」の続きのお話となっている。今回キーとなるガジェットは、極小ブラックホール。このブラックホールの粉末をお茶漬けにふりかけて食べると、酩酊しSF的快楽を得られるという麻薬みたいな効果、そしてタイムトラベル効果も。その調査のためにタイムマシン惑星に降り立つヒノとシオダ。そこで出会ったブラックホール人の生態(生殖から死まで)を綿密に構築する手腕が素晴らしい。科学的緻密さに舌を巻く。ブラックホールが粉末ということと反重力があるということ、この二つだけがSF的想像力で、あとの理論はふつうに現代科学で説明できるものという徹底ぶり。さすが石原藤夫博士の面目躍如。でもコミカルで読みやすく非常に楽しい!メタ的にスペオペネタを放り込んでくるのも面白い。タイムトラベルものとしても、決定論型のパズルをちゃんと計算しており、おもしろかった。
★★★★☆