- 作者: バリントン・J・ベイリー,浅倉久志
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1985/09
- メディア: 文庫
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あらすじ
全宇宙は収縮の一途をたどっていた。なかを漂うドーム都市“シティ5”もまた、直径数キロの宇宙に閉じこめられたまま、終焉を迎えるかに見えた。反体制派が核子ロケットを奪い宇宙に飛び立つが、乗員が虚無の彼方に見たものとは?――奔放なアイデアで描く表題作ほか、異星人が国王として君臨するイギリスの物語「王様の家来がみんな寄っても」、チェスの騎士が物語るあまりにも異質な宇宙の姿……「宇宙の探求」など、ワイドスクリーン・バロックの鬼才として著名な作者が、奔流のようなアイデアと、めくるめく華麗なイメージで読者を魅了する九篇を収録した傑作短篇集!
亮人::どぅおもー!漫才風読書感想でーす!
使い魔・ゲンキ君::今回は、バリントン・J・ベイリーの奇想SF短編集『シティ5からの脱出』だガル!
亮人::これは天神橋筋のSFとミステリの専門古本屋・ジグソーハウスさんで買ったんよなー!
ゲンキ君::まさかオビ付が売ってるとは思わなかったガルね。
亮人::数年前に出た『カエアンの聖衣』の新訳版と短編集『ゴッド・ガン』でイッキにファンになったんよな!普通の人では思いつかないようなヘンテコな奇想が魅力なんよ!これぞワイドスクリーン・バロックや!!!
ゲンキ君::今回も、常人では思いつかないようなアイデアの連続で楽しんだガルね!
亮人::それでは各短編を一つずつ見ていこか!
- 宇宙の探求
ゲンキ君::ドロップアウト科学者が主人公の話ガル。
亮人::科学者が部屋で阿片におぼれてたらチェスの騎士が話しかけてくるんよな!?
ゲンキ君::なんとその話すチェス騎士は、違う宇宙から来た存在だと言うガル。人類の三次元宇宙と違う、時間も空間も連続でない他の宇宙。
亮人::果たしてコレは阿片男の幻覚なんか?
ゲンキ君::誇大妄想一歩手前のヘンテコなアイデアで笑ったガルね!
亮人::これぞベイリー!幸先イイゾ!
- 知識の蜜蜂
ゲンキ君::惑星観光中に一人で未知の惑星に不時着することになる男。不時着した途端に、巨大蜜蜂みたいな異星生物に連れ去られるガル。
亮人::この巨大蜜蜂人は花粉ではなく知識を集めて蜜にしているらしいんや?!
ゲンキ君::果たして、知識の蜜蜂に知性はあるのだろうか?
亮人::哲学的なエッセンスにこのヘンテコなアイデアを混ぜ込むというセンスが奇妙で素敵やん!
ゲンキ君::オールタイムベスト級の短編ガルね!
- シティ5からの脱出
ゲンキ君::遠未来。宇宙が収縮を続けて終焉するビッグクランチの中、既知宇宙から脱出したドーム都市・シティ5の話だガル。
亮人::シティ5の中の市民たちは、徹底した情報管理の下で厳格に管理されてる状態なんよなー。
ゲンキ君::そんな中、シティ5から出てドームの外を調べようとするグループが。
亮人::もちろんドームの外は、宇宙ではなくて、既知宇宙の外の無の世界。この無の領域に関する思索が興味深い。ってか無の中で有の物が存在できるんか?想像力の限界を超えた描写や!!
ゲンキ君::ラストも人間らしく残酷で読み応えのある短編だったガル。
- 洞察鏡奇譚
亮人::いきなりやけど、これアニメの『天元突破グレンラガン』やん!
ゲンキ君::地中の空洞の中で生活する人たち。厳しい戒律で縛られている。そんな中ドリルで新たな世界を求める主人公たち。
亮人::完全にグレンラガンです!
ゲンキ君::さすがにラストは「天の光はすべて星」レベルにまでは行かなかったガルけど、これもスゴイ発想の話だったガル。
- 王様の家来がみんな寄っても
ゲンキ君::宇宙船に占領されて王様が宇宙人になった英国の話だガル。
亮人::ちょっと銀魂っぽい設定w あとラヴィ・ティドハーの《ブックマン秘史》三部作にも似てるなー?
ゲンキ君::それらの原点かもしれないガルね。ただ宇宙人君主は、圧政を敷くでもなく、英国人に寄り添った政治をしているガル。
亮人::でもこの宇宙人、何考えているか全く分からんねん。分析によると感情がない種族らしい。そしてオチになる、なぜこの宇宙人には感情がないのかのSF的解釈が面白いねんなー!
ゲンキ君::やっぱりスゴイ発想ガル。これもオールタイムベスト級の短編ガル!
- 過負荷
ゲンキ君::未来社会。複合企業体のトップが政治も牛耳ってる状況ガル。いちおう民主制政治だけど、複合企業体トップたちはカリスマ性も送信できる放送設備で演説を行って、民衆をあやつって政治でもトップであり続けるガル。
亮人::そこで立ち上がったのが在野の男。この支配を打ち砕くことが出来るのか?!
ゲンキ君::ベイリーにしては意外に普通のディストピアSFと感じたけど、一つ一つのガジェットもいいアイデアで、佳作ガル!
- ドミヌスの惑星
ゲンキ君::地球人類と異星種族による合同惑星調査団の話だガル。
亮人::地球人類は科学的探究心で調査団に参加してるんやけど、他の種族の存在理由が明るみになっていく後半が圧巻。華々しい死のために生きている種族で、今回の調査も死に場所を探しにきてただけやったり。強者に隷属することが生きがいの種族で、今回の調査でその強者を見つけようと躍起になってたり。
ゲンキ君::調査団なんてもうメチャクチャ。スゴイ発想だガル。
亮人::こんないろんな考えの種族がいるって、宇宙は広いねー。
- モーリーの放射の実験
ゲンキ君::モーリー率いる怪しい集団が南極にピラミッドを立てて宇宙に怪しい電波を放射するところから話ははじまりガル。
亮人::そこから、人間の集団心理の話に。人間に個人意思というものはなく、地場に影響される集団心理しかないという理論が開陳される。面白い理論やけど、理論だけで小説にはなりきれてないかな?
ゲンキ君::アイデアが走りすぎた作品かもしれないガルね。
- オリヴァー・ネイラーの内世界
ゲンキ君::内部で物語を自動生成するテレビを発明した主人公。そのテレビの中は一つの宇宙なのか?主人公は宇宙を旅しながら、テレビの中と外の自己同一性を自問自答し続ける。という話だガル。
亮人::結構難しい物語やったかな。ベイリーは短編集の最後にヘヴィなのを置いていくなー!?
ゲンキ君::さてこれで終わりだけど、特に「知識の蜜蜂」と「王様の家来がみんな寄っても」が大傑作だったガルね!レア本だったけど、これらの短編だけでも買う価値あり。買って良かった本だったガルね!
亮人::ところで、おまはん。組を抜けるって話を聞いたけー、どーなっとるんじゃけん!!
ゲンキ君::急にどうしたガル?エセ広島弁で?
亮人::任侠じゃけー。組を抜けさしてくれんさい!
ゲンキ君::エセ広島弁のエセ任侠だガル。
亮人::これがホントの「指定(暴)からの脱出」なんちゃってww
ゲンキ君::これが言いたかっただけガルか。。。
亮人::ああ~推薦で合格した大学に通いはじめたものの、もう辞めたい。
ゲンキ君::次のシチュエーションに変わったガル?
亮人::でも辞めたら母校の高校への推薦枠が減らされてしまう。どうしようー。
ゲンキ君::いったい何の推薦なんだガル?
亮人::これがホントの「指定校(推薦)からの脱出」なんちゃってww
ゲンキ君::それが言いたかったんかい!!ってかそもそも「シティ5」って「してぃごー」って読むガルか?「してぃふぁいぶ」じゃないガルか?
亮人::まぁまぁ細かいことは気にしないように「していこう~」wwなんちゃってww
ゲンキ君::もうやめさせてもらうわん!ガルガル!!!
収録作
- 宇宙の探求
- 知識の蜜蜂
- シティ5からの脱出
- 洞察鏡奇譚
- 王様の家来がみんな寄っても
- 過負荷
- ドミヌスの惑星
- モーリーの放射の実験
- オリヴァー・ネイラーの内世界
★★★★★