- 作者: 谷甲州
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2013/09/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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あらすじ
事故はつねに起こる。最悪の危機を回避するのは、彼ら宇宙を拓く現場の者たち……
待望の宇宙土木SFシリーズ、驚愕の書き下ろし最終エピソードを加え、25年の時を経てついに完成。月の地下交通トンネル、火星の与圧ドーム、水星の射出軌条、木星の浮遊工場……太陽系の開発現場で前例のない事故が起こるとき、現場の技術者たちは知恵と勇気で立ち向かう。驚愕の太陽系創造神話、誕生。
1988年に「コペルニクス隧道」他の3編が発表されながら掲載誌の休刊もあり長らく凍結されていた連作短編シリーズが、2010年、大森望責任編集のアンソロジーシリーズ『書き下ろし日本SFコレクション NOVA』で再開。
「思わず感涙にむせぶ人も多いだろう。谷甲州の宇宙土木SFシリーズ、奇跡の復活である」そして第1話発表より四半世紀を経て、大幅改稿とともに驚愕の書き下ろし最終話を得て、ついにその壮大な物語が全貌を現す。
「作者が予測できなかったくらいだから、読者諸賢にとってはなおのこと予想外の物語になったと確信している」――谷甲州
宇宙ドカタたちが太陽系の各地で事故にあう話。月、火、水、木、金、土、日、と各太陽系の星で日本人技術者が巻き込まれる事故は、地味だが宇宙環境の苛酷さを淡々と描いており、読み応え充分。日本人の不屈の精神を称えたくなる。そしてウワサのオビの「衝撃の結末に瞠目せよ」な大ネタだが、この人間が卑小に感じてしまうくらいの宇宙の壮大なヴィジョンは素晴らしい。だが最近の某アンソロジーに、同じく谷甲州の似たネタの短篇を引っ張ってこられてたので、そのイメージと読後感がかぶって予期せぬマイナス効果があったことは否めない。タイミング的にチョット残念だった。ともあれ25年間も途絶した作品群を復活完結させた、作者&大森さん&河出書房は素晴らしい仕事をなしてくれました。ありがとう!!
★★★★☆