くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

スティーヴン・バクスター「痕跡」

(SFマガジン2006年2月号収録)

バクスターの代表的シリーズ《ジーリー》と同じガジェット(GUTドライヴなど)を使っているが、特にシリーズ作品ではない独立した短編らしい。
GUT(大統一理論)を使った宇宙船でオールト雲まで調査に赴くブルースターとディラード。ディラードは、人間原理やカオス理論やガイア仮説を取り込んだ新しいキリスト教全体論教会」の信者。この宇宙は人間を中心にして生まれたと信じている。そして太陽から1/3光年のオールト雲まで来たのは、粒子のベリー相の調査のため。ベリー相を見ると、その粒子の過去がキレイに見える。だからオールト雲の彗星のベリー相を見て、太陽系の過去を調べようという。そしてその結果、ディラードの信じる全体論教会の教義が崩れるような結果が出てくる。
やっぱりバクスターはスケールの大きな話でカッコイイ!信義が揺らいでアイデンティティが崩れるという物語のテーマもオレ好み。バクスターは《ジーリー》ももっと読んでいかなければならないと、再認識した!積読を掘り返そう!
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