くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

豊田有恒『零戦の秘密 タイムパトロール極秘ファイル2』

あらすじ
大空を暴れまわり勝利の翼を広げていた無敵の零戦神話が崩れ、各地で日本軍の敗走が相次いでいた昭和19年2月。日本軍にとって太平洋戦争最後の決戦というべきソロモン諸島の攻防戦に、突如〈超〉零戦が出現した。数においても、速度、火力でも、はるかに劣るはずの零戦が、つぎつぎとアメリカの戦闘機を撃墜していった。そして、ついに、太平洋戦争に勝利し、もうひとつの歴史がつくられてしまったのだ…。歴史犯罪者を追うタイムパトロール員の活躍。待望のシリーズ第2弾。オムニバス歴史SF。

タイムマシンで歴史を変えようとする時間犯罪者から歴史を守るタイムパトロールの報告書という体裁の短篇集シリーズ・第二弾。第一弾は日本史だったが、今回は世界史篇。各短篇の舞台は「エジプト第18王朝のファラオ・ツタンカーメン」「マケドニアアレキサンダー大王」「ルネサンス期の錬金術師・パラケルスス」「太平洋戦争に現れた超・零戦」の4篇。第一弾と同様に歴史を改変されたらタイムパトロールの失態だから、事前に犯行を防ぐ展開が多いが、そうなると改変歴史を見る楽しさが味わえないのでちょっと残念だなと思う。あと歴史改変ものの厳しいところなんだけど、今の既知の歴史が既にタイムトラベラーの影響を受けた末の世界であるというのと、時間犯罪によって歴史改変された世界というの、線引きは何だってのが不明確で難しい。多世界解釈っぽいのを使ってそこは曖昧に処理していて、エンタメに仕上がっているからまあ満足だけどね。

★★★☆☆