くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

光瀬龍『所は何処、水師営』

あらすじ
明治十年。西南戦争に敗れた西郷隆盛は、鹿児島の城山で自害した。だが、巷では、西郷は死んでおらずロシアに逃れ、ロマノフ王朝と共に明治政府顛覆を図っていると噂されていた。明治三十七年、日露戦争勃発。快進撃をつづける日本軍は勝利を得るかにみえたが、形勢は逆転、水師営で勝者西郷と敗者乃木大将が会見した――歪められた歴史の修正をめざす時間局員(タイムパトロール)の闘いが始まる。そして、謎の背後には、世界的物理学者アインシュタインの影が……。動乱の明治期を舞台に展開する波乱万丈の歴史SF。

笙子おねえさん&かもめちゃん&元さんの三人が活躍する《時間局員》シリーズ。長篇『征東都督府』では、戊辰戦争幕府軍が勝って日清戦争で日本が負けた世界。長篇『紐育、宜候』では太平洋戦争で日本が勝ちニューヨークに原子爆弾を落とそうとした世界。短篇「歌麿さま参る」では、写楽歌麿の未発見作品が多量に出回って調査する話。短篇「飛加藤を斬れ」では、古今和歌集の写本を盗もうとする加藤段蔵・飛加藤を追う話。オレの調べた限りでは、文庫になっているシリーズ作品はこれだけかな(『光瀬龍 SF作家の曳航』という没後10年メモリアル本に「帝都上空に敵一機」という短篇が収録されているらしいが、これは未着手)。『所は何処、水師営』で、一応シリーズ積読は全部制覇したことになる。(追記:『幻影のバラード』も同シリーズなのかな?かなり変化球らしい。未読だわ)
ということで本書。まずは西南戦争。ここで西郷さんが生き延びる。密かにロシアに亡命。ロシアの客将となる。そして日露戦争。旅順でステッセルが乃木大将に負けるのが史実だが、西郷さんが神がかりな指揮をとることで逆転的にロシアが勝利。旅順港の艦隊も復活して、日本海軍を混乱させ、バルチック艦隊も全力を発揮。日本海海戦で東郷ターンを見せるまでもなく日本敗戦。日露戦争は日本の負けで終戦。しかしここで、西郷さんが日本の統治を任されたことで、歴史が大転換。西郷さんは、薩長の明治政府を排除。西郷さんを頂点とする軍事国家・東亜大国を建国。ロシアの傀儡になるでもなく、国力を増大させる。最後には、アメリカを従えて、アフリカから欧州までに侵攻する。熱い!架空の歴史だけど、ここまで時代のうねりを描ききった筆力に感嘆!ここで時間局員の登場。元さんとかもめちゃんは、西南戦争で西郷さんを逃がしたのは勝海舟だと突き止める。勝海舟を追い込むと、時間旅行者アインシュタイン博士に行き着く。アインシュタインは、相対性理論だけではなく、時間旅行の理論も発見しており、真の理想の世界を作るために歴史を変えていたのだ!!ということでオチまで書いてしまいました。時代のうねりが魅力的に書かれていて、本当に読んでいて面白い。しかし、乃木大将の無策に突撃作戦は司馬遼太郎も愚将と描いていたが、ロシアのステッセル勝海舟アインシュタインまで好き勝手に性格破綻者に書いててこれでいいのかとは感じたw面白ければそれでいいんだけど!
(追記:どうでもいいけど、光瀬歴史SFって強姦のシーン多くね?サービスカットなの?毎回入れないと気がすまないの?光瀬先生って女子校の先生だったらしいけど、強姦シーンばっかり書いてる先生ってイヤだなww)
★★★★★