
時の門 (ハヤカワ文庫 SF―ハインライン傑作集 (624))
- 作者: ロバート・A・ハインライン,福島正実
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1985/08
- メディア: 文庫
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あらすじ
どこから入ってきたんだ、こいつは!自分一人しかいないはずの部屋に突然現れた一人の男――その男はウィルスンに思いもかけない提案をした……タイム・パラドックス・テーマの不朽の名作といわれる表題作「時の門」をはじめ、突然公衆の面前で若い女性がストリップをはじめたり、痴呆めいた新興宗教が流行したりと、あらゆる奇妙な現象がとどまるところをしらず増大し、やがて……「大当たりの年」、地球から来た美人に恋人を奪われそうになった月っ子の物語「地球の脅威」など、巨匠ハインラインならではのセンス・オブ・ワンダーにみちた傑作、名作7中短篇を収録!
「ハインライン傑作選」という副題は伊達ではない。収録短篇がどれも高水準で驚いた。だから久々に(はじめて?)全部に感想書く。
- 大当たりの年
破滅SF。ヒロインの路上ストリップからはじまるのでびびった。統計で「大当たりの年」がでるとは思えないのがチョット気になるが、ラストまでの静かな筆致で破滅を描くのは素晴らしい。
- 時の門
広瀬正の評論「時の門を開く」で有名だが、入手困難品として有名。読メの仲良くさせてもらっているぺこさんのお陰で、やっと読めて感慨も一入!ロジック系の時間SFは理論を考え抜いて構築していると感心する。これのちょい黒バージョンである同じくハインラインの「輪廻の蛇」とかも。「時の門を開く」も要再読だ。
- コロンブスは馬鹿だ
ショートショート。オチが冴えててオシャレなSFだ。一番好き。
- 地球の脅威
月の恋愛SF。友達と思ってた男の子と、距離が離れた瞬間に自分の恋心に気づく女の子。月世界に住むようになっても少年少女は変わらない。月ならではのスポーツ「フライ」の描写も活き活きしててよい。ただ邦題が侵略ものっぽいのがバツ。直訳で「地球からの厄介者」くらいでもよかったのに。
- 血清空輸作戦
宇宙SF。冥王星植民地で病気発生。血清を届けるために光子船ロケットの高Gに耐えなければならない。方程式ものの変奏曲のようなおもむき。
- 金魚鉢
風刺SF。風刺自体は現代から見るとたいしたアイデアではないが、途中にでてきた進化論の仮説が古びているが魅力的。
- 夢魔計画
超能力SF。冷戦も超能力も完全に古びたアイデアだが、現代の読書にも耐えられる文章なのがスゴイ。
★★★★★