くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

山本弘『アイの物語』

アイの物語

アイの物語

『アイの物語』はアイビスの物語であり、AI(人工知能)の物語であり、I(私)の物語であり、i(虚数)の物語であり、愛の物語。
ロボットについての物語であると同時に物語についての物語。
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアたったひとつの冴えたやりかた』方式で順番に語られる7つの物語はどれも素晴らしい。どれも心揺さぶられる。ハズレ無し。山本弘の長編はSF的大ネタで話を引っ張っていくタイプと思ってたけど、こんなにも感動的な物語を書くなんて!!

  • 宇宙をぼくの手の上に

創作の話と生体宇宙船の話。
短編集『シュレディンガーのチョコパフェ』の中にも生体宇宙船の話があったけど、こっちの終わり方のほうが好き。現実世界との関連も含めて。

  • ときめきの仮想空間

ヴァーチャル空間の話。
何この甘い話…すごく良いです。
早く科学技術進歩してこのヴァーチャルマシン作ってくれ。せめて『電脳コイル』レベルまで早く来てくれ。

  • ミラーガール

対話マシンと自意識の話。
最後の1行が、、、アイビス世界との対比で素晴らしく見える。

ブラックホール監視AIの交流の話。
AIの微妙な心の変化(感情を理解する第1歩?)が書かれている。

  • 正義が正義である世界

ゼーガペイン』の話(違)
作者のアニメ・特撮の正義の味方に対する世界観が凝縮されている。

  • 詩音が来た日

アンドロイド介護士の話。
この本のこの場所でしか発表できないであろう話(書き下ろし作品だから当たり前だが)。まさに『アイの物語』にピッタリ。

  • アイの物語

真実の歴史の話。
今までの6つの話が下地になって最高の物語に仕上がっていると思う。アイビスの決意のシーンとラストシーンが泣ける。