くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

辻真先『暗殺列車―山本五十六大将抹殺指令』

あらすじ
日米が戦うことなく、時は昭和三十年に至った。この年のある日、海軍大将・山本五十六は、東京と満州の新京を結ぶ弾丸列車『日の出』号の車上にあった。ソ連が虎視眈々と狙う極東の安定のため、蒋介石周恩来国共合作画策の訪満である。だが、山本の使命を邪魔せんものと、五十六殺害の命を受けたテロリストたちも列車に乗り込んだ。五十六を守る護衛役は、探偵・帆村荘六、腕利きの刑事、ふたりの女刑事たち。驀進する『日の出』号。やがて車内で起こった奇怪な殺人事件を皮切りに、刺客たちの摩手が殺到。危うし山本五十六!刺客たちの意外な正体。そして、あっと驚く大ドンデン返し。

御年88歳で、国内ミステリーランキング本の2020年三冠を果たした、話題の辻真先先生。しかしなぜかその今話題の『たかが殺人じゃないか』ではなく、この1996年の入手困難本を読んだ!前々からオルタネートヒストリーSFって話は聞いてたけど、入手困難本だった本書。密林中古でも取り扱いさえナシ。1996年の本なのに~。ということで、地元の図書館で探し出してきた!
石原莞爾山本五十六・米内光政が近衛文麿首相を説得し、日中戦争仏印進駐から手を引くことを手土産にルーズベルトと会談し、太平洋戦争を回避。そんな「太平洋戦争がなかった昭和30年」が舞台の歴史改変SF。しかし平和は薄氷、ソ連は東アジア進出を狙う。それを阻止するために、蒋介石周恩来国共合作させようと山本と石原が満州に向かう。日韓トンネルで東京から満州まで直結された弾丸列車。その車内で山本石原は命を狙われる。護衛は海野十三が生み出した名探偵・帆村荘六。熱い設定!これぞオルタネートヒストリー!暗殺者との攻防!軍の主戦派の陰謀!この冒険小説は、ワクワクしかない!ありえたかもしれない、東京から福岡、対馬朝鮮半島を通って、満州まで続く豪華列車旅も、本当に旅しているようで楽しい!ラストの締め方も、この先この歴史がどこに進んでいくのか、想像させるようで良い。やっぱり歴史改変SFはロマンがあっていいね~!
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