くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

円居挽『その絆は対角線』

あらすじ
内気な性格に悩む中学生の千鶴は、自身を変えるための新しい挑戦として、“憧れの国"と呼ばれる四谷のカルチャーセンターに通い始める。そこで出会ったのは、性格も学校もばらばらだけれど、似たような悩みを抱える桃、真紀、公子。なぜかいつも講座でささやかな謎に遭遇する彼女たちは、時にぶつかり合い、時に支え合いながら、事件を通して内面を見つめ直していく……。芸術講座で聞いた、死の間際に骨董コレクターが取った不可解な行動。創作講座で絶賛された作者不明の原稿。不思議な謎を解き明かしていくたびに、少女たちは成長する。温かく優しい筆致で描いた青春ミステリ第2弾。

使い魔・ゲンキ君::創元推理文庫円居挽、『日曜は憧れの国』の続篇『その絆は対角線』だガル。
亮人::中学生四人がカルチャーセンターで色々な講座を受講しながら、友達と接近したりギスギスしたり、人生や青春のトゲトゲを感じたり、そんな日常の謎ミステリやな。
ゲンキ君::ハーフ美女のキャリアウーマン講師のエリカ先生との絡みを軸にして、五つの謎を推理していく連作短篇だガル。
亮人:: 五つの連作、それぞれキリキリとした日常の謎やったなー。
ゲンキ君::「その絆は対角線」ではフェードアウトしそうな四人メンバーのうちの一人を引き止めるためにアタマを使い、「愛しき仲にも礼儀あり?」ではマナー講師が突然激怒した理由を探り、「胎土の時期を過ぎても」ではアマチュア骨董収集家が死の間際に本物の天目茶碗を壊して自作の贋作を残した理由を推理し、「巨人の標本」では創作講座で投稿された作者不明の大傑作の作者を探し、「かくも長き別れ」ではエリカ先生の講演会でカメラ盗難事件を探りつつ物語の軸の大きな謎に迫るガル。
亮人::それぞれ謎を解くと同時に、「本物と偽者の人間の違い」が大きなテーマになってるんやな。本物の才能を前にして、付け焼刃の偽者の人間の努力は意味があるのかとか。そこまで考えて生活してる大人も少ないと思うけど。まあこれを悩むのが青春やなー。
ゲンキ君::そのテーマが最後に結びついて、ラストにはエリカ先生の出自まで至るんだガルね。
亮人::ってかこれ時事ネタっぽいオチで、ビターでありつつも苦笑したわ。だって●●●*1の男女を変えたネタやん。このネタを、思春期のキリキリとした悩みに昇華した円居先生の手腕が面白いわ!
ゲンキ君::ところで話しは変わるけど、御主人はカルチャーセンターで習いたいことがあるとかガル?
亮人::そうそう!オレなら「茶摘み」やね!
ゲンキ君::都会のビルのカルチャーセンターで茶摘みだガルか?
亮人::カルチャーセンターだけに、「刈る茶―煎茶―」なんつってww
ゲンキ君::御主人、困ったら茶摘みネタを使ってないかガル?前もあったような?
亮人::困ったら、定番ネタで「お茶を濁す」!お茶だけにw
ゲンキ君::もうええわ!ガルガル!!

収録

  • その絆は対角線
  • 愛しき仲にも礼儀あり?
  • 胎土の時期を過ぎても
  • 巨人の標本
  • かくも長き別れ

★★★★☆

*1:ショーンK