くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

ロバート・J・ソウヤー『見上げてごらん。』


作者:ロバート・J・ソウヤー
出版社/メーカー:はるこん実行委員会
発売日:2011/04/09
メディア:ポケット判

あらすじ
『さよならダイノサウルス』『フレームシフト』『イリーガル・エイリアン』などで星雲翔海外長編部門を何度も受賞するほど日本でも人気が高いロバート・J・ソウヤー自身が選び、各々に序文を設け、本自体の題名を興し、と意欲を込めた日本初の短編集である。
簡潔明瞭な文章で明るい未来を多く提示していく片鱗を垣間見ることができる。
一九六〇年カナダのオンタリオ州オタワに生まれ、トロントで育ち、現在も在住しているロバート・J・ソウヤーは作家としての活動のほか、トロント大学などでSF創作を教授したり、カナダ可法相の顧問として、遺伝子に関する法律のあるべき姿について助言している。『フラッシュフォワード』が米国でTVシリーズ化され日本でも放送され話題となった。
ニワトリが舞うダイソン球に住む少年が眼にした物は?『星の光、星の輝き』
信仰深き人々の眼前で起きた火星の奇蹟の正体とは?『神の御子は今宵しも(いざ集え、信者たちよ)』
宇宙開拓者は立ち塞がる困難に打ち勝てるのか?『巨人の肩に乗って』
未来で、宇宙で、心の中で人々が心ふるわせ見上げた先に果たして何を望み、何を見ることができるのか?

亮人::どぅおもー!漫才風読書感想でーす!
使い魔・ゲンキ君::今回は、ロバート・J・ソウヤーの『見上げてごらん。』だガル!!
亮人::これは文フリ大阪で買った、商業出版じゃない本やなー!
ゲンキ君::関東で毎年開催されているSFイベント「はるこん」で発行されている同人誌(?)だガル!毎年、ゲストの海外SF作家を読んで、その人の未訳短編を集めた作品集を発行してるガル!!
亮人::文フリ大阪のブースにいた方が、親切にもサイン入りを勧めて下さって、それを買ったんよ!!嬉しかった!!でもサインは英語で素早く書いてるから、何を書いてるかワカランチンww
ゲンキ君::読めないけど、まぁ名前じゃないガルか?
亮人::まぁそうやーろうなー。ソウヤーだけにw
ゲンキ君::ハイハイ。では内容へ。

  • 「星の光、星の輝き」

亮人::1編目。ダイソン球で暮らす、大戦争で科学技術も後退した人類たちの話。
ゲンキ君::ダイソン球というのをまず説明するガル。ダイソン球を地球で言えば、地球の公転軌道の大きさのデッカイ球を作ってそこに住んでしまおうという話ガル。普通は太陽のエネルギーは地球に当たってる分の微々たるものしか活用できてないけど、ダイソン球で太陽をスッポリ覆ってしまえば、太陽のエネルギーをほぼ無駄にしないで全活用できるという。超巨大構造物だガルね。
亮人::この短編では、どうやら太陽系ではない外宇宙のどこかの星のダイソン球で暮らしてる人たちらしいと。しかももう宇宙航行の技術とかも忘れられて、牧歌的な暮らしをしている人たち。
ゲンキ君::そんな中、一部の人たちは古代言語の研究をしたり、ダイソン球の太陽の側でなく宇宙で生活したり、色々しはじめてるガル。宇宙で生活をはじめると、宇宙の暗闇に適応して空間に光(星の輝き)を見出す子供たちが現れる。外の星を発見する。そして子供たちは星の海へ進む。
亮人::対立、緊張、悪役がいなくても物語は進めていけるし、未来に常に輝きがあることを示している、いい物語やな!!
ゲンキ君::さすがソウヤーらしい物語!
亮人::やっぱり「吸引力の変わらないただ一つの掃除機」はええね!!
ゲンキ君::それはダイソンだガル!!ダイソン球の話をしろ!!もう次の話に行くガル!!

亮人::2編目。開拓中の火星に入植民としてバチカンから来ている神父の話。
ゲンキ君::しかし火星の人たちは科学者ばかりで、神はほぼ信じていない人たちばっかりガルね。神父は半ば馬鹿にされてる存在。でもバチカンから派遣されてるのでマジメに仕事をしている神父ガル。
亮人::そんな時、バチカンから連絡が!
ゲンキ君::「ファティマ第三の予言」のマリア様が火星に降臨なされるという噂が地球で流れているので、火星でその実態を確かめろと。
亮人::まるで『バチカン奇跡調査官』やんけw
ゲンキ君::火星の現地に向かった神父は、何を見たと証言するのか?信仰と科学的合理性とのせめぎ合いから、神父が最終的に決断した行為が面白いガルね!火星ならではの終わり方で、ソウヤー上手いガル!!
亮人::こういう宗教と科学がガッツリ絡み合うSF、大好きやわ!でもさすがキリスト教な終わり方やね?さすが(信者)吸引力の変わらないただ一つの宗教やわww
ゲンキ君::だからダイソンから離れろガルー!!次。

  • 「巨人の肩に乗って」

亮人::3編目。人類史上初の星間宇宙船の話。
ゲンキ君::フロンティア魂を持って太陽系を飛び出した科学者たちが、目的地くじら座タウ星で見たものとは?!これも衝撃だったガルね!
亮人::衝撃を受けつつも苦笑やわな!まぁそういうこともあるさ!
ゲンキ君::でもさらに前向きな終わり方で良い話だしGOODだガルね!!
亮人::あと目的地がくじら座タウ星で、オレのブログと一緒で嬉しかったねw
ゲンキ君::ということで、これで全短編だガルね。
亮人::どれも面白いアイデアの話ばかりで大満足!併録の英語のやつは、英語読めまへーんwwだから割愛。
ゲンキ君::あと巻末解説の、今までハヤカワ文庫でソウヤーを翻訳してこられた内田昌之先生の文章も興味深かったガルね。
亮人::翻訳って、作品の完成度だけじゃなくタイミングもあるんやなー。難しい。
ゲンキ君::『占星師アフサンの遠見鏡』の《キンタグリオ》は三部作なのに、1巻の『アフサン』の売れ行きがかんばしくなかったので、続巻が出なかったガル。そして《ネアンデルタール・パララックス》三部作は、ヒューゴー賞を取ったから翻訳が出たけども、原作自体の完成度がイマイチだったので評価されず、ソウヤー自体の邦訳の機運が全くなくなってしまったと。
亮人::内田昌之先生、メッチャぼやいてはったなー。
ゲンキ君::ソウヤー面白い作品がいっぱいだから、またタイミングが巡ってくることを祈って、さらなる邦訳や作品集いつまででも待つガル!
亮人::そうやそうや!未訳がいっぱいあるのはSF界にとっても「大損害」や!!「ダイソン」だけにww
ゲンキ君::もうダイソンはいいガル!もうやめさせてもらうわん!ガルガル!!

収録作

  • 星の光、星の輝き
  • 神の御子は今宵しも(いざ集え、信者たちよ)
  • 巨人の肩に乗って
  • 作者紹介
  • Robert J. Sawyer's publishing situation in Japan (Masayuki Utida)
  • About the Author
  • Come All Ye Faithful
  • 解説 (内田昌之)
  • ロバート・J・ソウヤー単行本リスト

★★★★★

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