くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

フィリップ・ホセ・ファーマー『奇妙な関係』

奇妙な関係 (創元推理文庫 670-1)

奇妙な関係 (創元推理文庫 670-1)

あらすじ
それまでタブー視されていた性や宗教の問題に真正面から取り組んで、SF界に大きな衝撃を与えたファーマーが奇抜な異生物の宿る風変わりな世界を描いた短編の数々。流星と衝突した宇宙船が不時着した惑星に住む、岩石のような生物は、つかまえた人間をひと呑みに呑みこんでしまう!火星探検隊員は、火星の砂の中で異様なドームを発見する!撃沈された豪華船の乗客は、波間に漂ううち異様な物体に呑みこまれる!さあ、あなたも異世界への扉を開いてみませんか。

亮人::今回読了したのは、奇妙な異星生物の生殖生態との接触&関係がテーマのファーマーの作品集『奇妙な関係』だよ。
使い魔・ゲンキ君::どれも一筋縄ではいかないヘンテコな生物で楽しかったガル!
亮人::特にお気に入りになったのは、「母」と姉妹篇の「娘」は面白い生殖システムで、よくこんなの思い付くなと感激。また特異な生態を、主人公の宗教やトラウマとクロスさせる書き方も上手い。
ゲンキ君::性と宗教といえば、似たタイプのテーマの長篇『恋人たち』の時も思ったけど、やっぱりファーマーは好きな作家さんだガルね!
亮人::本書は、先月に、天神橋筋の古本屋・ジグソーハウスさんでゲッターしたものだけど、いい買い物だったね!大感謝!
ゲンキ君::それでは、各話の感想に移るガルー!

亮人::巻頭から傑作短篇が登場!
ゲンキ君::マザコン母息子が乗った宇宙船が不時着した惑星で出会う不思議な生物。いきなりマザコン登場でビックリしたガルけど、これもちゃんとテーマに絡まったネタで、上手いガルね。
亮人::この異星生物の生態が面白い。この生物はメスしかいない。オスの代わりは動くあらゆる動物。動物を匂いで呼び寄せて、自分の体内に取り込んで、肉板を傷つけさせることによって、その傷が遺伝子の揺らぎになる。
ゲンキ君::オスとメスの遺伝子の合体で突然変異など進化に変化を与える地球の生物とは全く違うガルね。
亮人::よく考えられてるよなー。
ゲンキ君::しかもその生態が、マザコンの行く末と関連付けてて上手いガル。
亮人::昨今「バブみ」「オギャる」って言葉があるが、本作は先駆的な作品かもねw
ゲンキ君::ただし、異星の貝のオバケみたいなのに感じる母性ガルねww

ゲンキ君::お次は「母」の姉妹篇ガル。
亮人::「母」と同じ世界だけど、今回は地球人目線じゃなく、異星生物の視点で物語は動く。
ゲンキ君::例の異星生物の特異な生殖システムに地球の童話をからめて進む物語展開が上手いガル。
亮人::ファーマーはこういうパロディというか変奏曲も上手いんだよなー。面白かった!
ゲンキ君::異星生物のヘンテコ生殖システムとか、ファーマーの設定作りの妙は素晴らしいガルね!
亮人::設定厨のからしたら大好物だわw

亮人::お次は、中篇で全く別のお話。
ゲンキ君::中篇で長くて、テーマも宗教と難しかったので、チョット手こずってたガルな。
亮人::もともと100ページ超の中篇はオレのリズムに合わないところがあるしね。
ゲンキ君::そもそも中篇も長篇も手こずるくせにw
亮人::うるさい!内容だ。今回の主人公たちの宇宙船が不時着した星には《父》という神の様な存在がいた。全ての動物は死んでも《父》に復活させてもらえる。だから弱肉強食ではない奇妙な生態系の世界になっている。
ゲンキ君::弱い動物が自ら肉食動物に身体を差し出したりね。どうせ復活させてもらえるから。全然、地球の弱肉強食の自然の摂理とは違う世界ガル。
亮人::そして、不時着した船に乗っていた神父による、《父》は神か悪魔かの思索。復活という奇跡を行うが、神か悪魔か、これを他の惑星に広めてもよいのか。
ゲンキ君::興味深い議論だったガルね。

  • 息子

ゲンキ君::お次は、異星の話ではなく、地球の冷戦が進んだ未来の話ガル。
亮人::客船が謎の潜水艦に撃沈されて、乗ってた主人公がその潜水艦に飲み込まれる。その潜水艦は、敵の最新鋭無人潜水艦だった。
ゲンキ君::敵っていうのが共産圏の某国っていう設定が時代を感じさせるガルね。
亮人::でも潜水艦AIとの頭脳戦は時代を感じさせず今読んでもスリリングでGOODだったよね!!

  • 妹の兄

亮人::最後は、火星探査の話。
ゲンキ君::火星探検隊が出会う火星生物と、更に謎の異星生物も登場するという多重構造だったガル。
亮人::火星生物のクモのような生態も奇妙で面白いのだが、更に謎の宇宙人も面白い。人間型の宇宙航行種族らしいのだが、ソイツとの接触も興味深い描写の連続。よくこんな生態を考え付くいたもんだ!
ゲンキ君::でも主人公の最後の行動が結構一貫してなかったようなガル?宇宙人と心通じさせたと思ったら、急に反発したり?
亮人::まあこのブログもいつも一貫してないんだから、そこは言いっこナシでw

  • 息子
  • 妹の兄

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