くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

今野敏『隠蔽捜査』

隠蔽捜査 (新潮文庫)

隠蔽捜査 (新潮文庫)

あらすじ
竜崎伸也は、警察官僚である。現在は警察庁長官官房でマスコミ対策を担っている。その朴念仁ぶりに、周囲は“変人”という称号を与えた。だが彼はこう考えていた。エリートは、国家を守るため、身を捧げるべきだ。私はそれに従って生きているにすぎない、と。組織を揺るがす連続殺人事件に、竜崎は真正面から対決してゆく。警察小説の歴史を変えた、吉川英治文学新人賞受賞作。

先日、古本市に同行してくれた友人からプレゼントしていただいた本。おもしろかったー!その節は、ありがとうございました!!
ちなみに、本書のドラマ版は母親が居間で見てたのを通りかかってチラッと見たことある。それくらいの前知識。あと今野敏は、ガンダム小説は読んだことある。本書もライバル同士の会話劇がチョットだけガンダムっぽいとも感じたかもw。続巻も気になるが、とりあえず本書の感想。
主人公・竜崎は警察庁長官官房総務課課長のキャリア官僚ということで、権威主義で保身に凝り固まった警察官僚かとはじめ思ったが違っていた。その実は、社会の原則を重視し、上に立つ者の責任を心の中心としているノブレスオブリージュを地で行く、愚直な男だった。これが意外にカッコイイ!そんな融通のきかない性格だから、困難に対しても泥臭く苦悩するんだけど、これがハラハラ。もっと日和って妥協した生き方をすれば楽に組織でいられるのに、と自分なら思ってしまう。特に今回は息子の不始末で、もみ消せるシチュエーションだから、オレなら絶対見てみぬフリしてまう笑。逆にここまで清廉潔白な人になら日本をトップを任せたい。こういう好人物が現実社会にも現れて日本を先導して欲しい!
(追記:ちなみに「隠蔽捜査」の意味は、警察官が殺人事件の容疑者で警察組織的にマズイのでわざと迷宮入りにさせて隠蔽してしまおうと工作するということなんだけど。国松長官狙撃事件のこととかも詳しく書かれていて、興味深かった。この狙撃事件ってこういう警官が犯人で警察組織がもみ消そうとしているとか怪文書も飛んでたことを初めて知った。しかし、事実は小説より奇なりとは言ったもので、小説内では女子高生強姦殺人の少年犯罪(実際にあったアノ胸糞悪い事件がモチーフか?)を私刑にしていく犯人という構図だったけど、実際の警察による殺人は不倫相手を殺して逃げるというお粗末なの最近あったよね。現実のなんていうくだらなさ。悲しくなるねー)
★★★★★