くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

豊田有恒『両面宿儺』

あらすじ
(省略)

豊田有恒の初期作品集。様々なタイプのSFが収録されており豊田有恒のショウケースとも言える一冊。全篇に渡って「日本の欧米化憎し」の偏った主張が織り込まれているのはご愛嬌。しかし日本書紀の異形の反逆者・両面宿儺の外敵に対抗する姿を、現代日本の欧米化の波への対抗とオーバーラップさせた表題作は読み応え充分。また氏のお得意のタイムパトロールもの「白村江」や、自虐史観を逆手に取った「いまひとつの日本」、作者自身が未来で宇宙戦を行うメタSF「ぼくのスペースオペラ」も素晴らしい。人類が進化の頂点なのかを問う「未来の翳」の進化論の末に幻視される次世代の地球の覇者の姿も、この短篇集を締めくくるにふさわしい力作。

  • 両面宿儺
  • 渡り廊下
  • 白く塗られたバナナ
  • 白村江
  • いまひとつの日本
  • ぼくのスペースオペラ
  • 未来の翳

★★★★☆