くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

光瀬龍『征東都督府』

征東都督府 (角川文庫)

征東都督府 (角川文庫)

あらすじ
ある日、財布の中身が「大清国征東都督府法幣一円」と書かれた紙幣に変わっていた。主人公たちがこの謎を調査するうちに、時間を跳ばされて、慶応31年に来てしまう(註:史実では慶応4年=明治元年)。この世界は、戊辰戦争幕府軍が勝利するも、その後の日清戦争で日本が敗戦し、清の占領下に置かれ占領軍政府「征東都督府」によって統治された日本だった。さて誰が何の為に歴史を改変したのか?

歴史改変SF。光瀬龍おなじみの時間局員もの。まず前半の見所は、改変歴史の慶応31年の人々。征東都督府の傘下の情報処理御用掛という秘密警察みたいな部署の面々が元新撰組の面々だったり。掛の上層部である近藤勇土方歳三密偵山崎烝なんかはイメージ通りなんだけど、現場のリーダー格の沖田総司がただの秘密警察拷問係みたいな扱いでちょっとガッカリ。あと暗躍する勝海舟がいいキャラなんだけど、話の展開上で別の時代へと直ぐに跳ぶので、結局投げっぱなしでちょっと残念。後半の見所は、時が跳んで歴史のターニングポイント・戊辰戦争江戸城無血開城の後に押せ押せの官軍だけど、会津で奥羽列藩同盟軍に敗北(註:上には幕府軍と書いたけど、この頃には徳川慶喜は戦意喪失逃亡してたので、東北の諸藩の連合軍である奥羽越列藩同盟旧幕府軍残党の榎本武揚新撰組が合流して戦っていた。史実では直ぐに負けちゃうけど)。そして奥羽列藩同盟軍が捲土重来を期して江戸へ反攻。官軍と同盟軍が遂に関東で相打つ。とここまでで暗殺や病死しているはずの、坂本竜馬高杉晋作らも入り乱れての戦乱が歴史書風に書かれているのは圧巻。…と細部は魅力的なんだけど、このオチが。。。かもめちゃんがあんな事になるなんて、ふざけるな光瀬龍!!!!!かもめちゃんとは、シリーズ通して登場する、主人公たち時間局員グループの一員で、リーダーを「笙子おねえさん」と慕う女子大生風の時間局員のマスコット的存在。それなのに…。最近の萌えの型にはまったストーリイに慣らされた歯牙なき豚としては、この展開にはもう何も言えない。エロいとの評判で読んだとはいえこの展開は、ひどいすぎるよ、光瀬先生。(ちょっと興奮しすぎたので後日ネタバレ感想書くかもです)
★★★★★