紙飛行機に眠る月
作者:風野湊
出版社/メーカー:呼吸書房
発売日:2014/05/10
メディア:文庫判(A6)
9/25の文フリ大阪でgetした本!
すごいいい空気感の作品集だった!幻想作短編集と銘打たれているだけあって、どの話も世界観に幻惑された!ファンタジーありSFありと多彩な設定でまず驚く。そしてアイデアの豊富さも読んでいて楽しかった。さらに文章もキレイで丁寧な描写で読んでて気持ちいい。いい本を読んだという満足感でよい体験でした!
- 「父の転生」
事故に遭った父が新しい身体へ。グレッグ・イーガン的なガジェットを日本の静かな日常で書くといういいアイデア。
- 「少女ドーリィ」
意識のあるドールがついに人間の身体を手に入れる。愛するご主人に対する気持ちの揺れが上手く書かれているオチがいい。
- 「青の国」
雨のない「世界」で暮らすロボットたち。ラストで広がる世界観にSF的な驚き。これはいいSF短編!
- 「花束マダム」
いつも同じ電車で花束を持って乗っているマダム。現代の一コマを上手く切り取ってような話。
- 「竜退治の街グリムカルダ西小川通り商店街」
一転してファンタジー世界。市井の人たち子供たちの心の動きが上手く書かれていてグッド!タイトルも絶妙で好き!
- 「ある冬の日の」
高速道路の外灯と星の光の擬人化を詩的に描いたショート作品。こんな視点もあるんだ。
- 「砂漠と釣りびと」
砂漠の砂の海で釣りをする人々。これもまたアイデアいい。
- 「新月をグラスに注いで」
これまた一気に読ませる。透明人間になった女子高生と美容師の出会い。自分の存在を透明にしたかった気持ち分かるし、それを再生しようとする美容師のお姉さんの想いも分かる。
- 「紙飛行機に眠る月」
これまたスゴイ。ラストに相応しい作品。主人公である紙が「なりたかった夢」の描き方がいいし、ラストに今のオレに繋がるっていう終わり方が本当にいい。上手い。