くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

伴名練『少女禁区』

少女禁区 (角川ホラー文庫)

少女禁区 (角川ホラー文庫)

  • 作者:伴名 練
  • 発売日: 2010/10/23
  • メディア: 文庫

あらすじ
15歳の「私」の主人は、数百年に1度といわれる呪詛の才を持つ、驕慢な美少女。「お前が私の玩具になれ。死ぬまで私を楽しませろ」親殺しの噂もあるその少女は、彼のひとがたに釘を打ち、あらゆる呪詛を用いて、少年を玩具のように扱うが…!?死をこえてなお「私」を縛りつけるものとは―。哀切な痛みに満ちた、珠玉の2編を収録。瑞々しい感性がえがきだす、死と少女たちの物語。第17回日本ホラー小説大賞短編賞受賞。

2篇とも傑作だった!どちらもグロテスクな愛を特殊な設定で描く!すごい!今の伴名練の活躍もそりゃうなずける!むしろなぜ10年も商業出版がなかったのか?謎だ。そして現在の活躍にも関わらず、本書が入手困難のまま復刊されないのも謎だ。この傑作は広く読まれるべきだ!

  • chocolate blood, biscuit hearts.

超巨大IT国際企業を支配する鏑木陶彌。死してなお、その子供である夕乃と相馬をも支配し続ける。そして夕乃と相馬はその檻からの逃避行。姉弟はネットで私生活を切り売りしながら隠遁生活。甘い菓子のような二人の行く末は?
これはスゴイ!ホラー文庫でのデビューで甘くグロテスクな二人を描きつつも、展開は完全にSF!旧弊な支配と近未来なガジェットが上手く融合し、甘い二人を甘い菓子になぞらえ甘い文体で、独特の世界観。デビュー作で、10年後の活躍の片鱗はすでに見えていた!さすが!

  • 少女禁区

呪道が普通にある村。親殺しの噂もある、呪詛の天才美少女。皆から恐れられ疎まれ避けられている。ひょんな事から少年を「玩具」として使役することとなる。
これもスゴイ作品。SF要素は少なくホラーだが、独特の世界観を形成する手腕はさすが!後の片鱗が垣間見られる。そして呪いが愛に反転するラストの展開は圧巻!そう来るかと唸る展開は投稿作とは思えない。これは後の伴名練の活躍もうなずける傑作だ!

収録作品

  • chocolate blood, biscuit hearts.
  • 少女禁区