あらすじ
その謎解きは秘密か、悲劇か――。
新人ミステリー作家と演劇サークル所属の大学生による邂逅と同盟のメンズバディ・ミステリー!
東京都紐島市で起きた女性転落死事件について調べ始めた新人ミステリー作家・柊平衿彦は、演劇サークル所属の男子大学生・連河琉李と知りあい、その常人離れした文章記憶力に目をつける。だが琉李は、かつて衿彦がみずからの謎解きによって爆弾魔事件に巻き込んでケガを負わせてしまった相手だった――。潜入先で起こる新たな事件。ダイイング・メッセージが示すのは誰か。そして、名探偵たちは殺人事件の真相を解明できるのか……。
面白かった〜!魅力的なキャラクタとキッチリ理詰めの推理で、大好きなミステリだった!
フォローもしてもらってる墨瀬(@sumise_jin)さんは、階知彦先生のweb用別名義(でいいんよね?)。階先生の著書は、ホームズのオマージュ《シャーベット・ゲーム》、ミス・マープルのオマージュ『火曜新聞クラブ』。ときて本作は、エラリイ・クイーンのオマージュ作品!これは期待してしまうよね!
転落死事件を追う推理作家。相棒の超記憶力を持つ演劇大学生。行き着いたのは、源氏物語のサークル。そこで出てくる「源氏香図」。舞台となる水路(クリーク)に囲まれた遠州の料理屋の離れ。ここまでの関係性や舞台装置のネタ振りをしっかり描写して、いざ起こる事件。いいね!本当にクイーン!
推理も、誰がこの情報を知っていたのかをキッチリ照らし合わせると理論的に犯人へと導かれるのでスッキリ。でも二重三重に仕掛けもあって驚きも。よく考えられてるな〜!ちなみにオレは水路の物理トリックは得意なんで即座に分かったけど、犯人の限定は感心して読むのみやった!
キャラクタも、推理作家の主人公と元刑事の探偵の姉、そして超記憶力の持ち主の演劇大学生。みんな特徴のあるいいキャラ!これはシリーズ化して欲しいくらい。元々のタイトルは「遠州クリークの秘密」だったので、クイーンばりに「旧国名シリーズ」として!
なんしか楽しい本格ミステリでした!webで長編を読むのは初めてで大変かと思ったけど、楽しかった!
階先生の『火曜新聞クラブ』は既読で、『シャーベット・ゲーム』は原典未読なんで積読にしてるんだけど、これは先に読んでみようかな!