くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

フレッド・セイバーヘーゲン『バーサーカー 赤方偏移の仮面』

バーサーカー赤方偏移の仮面 (ハヤカワ文庫 SF 387)

バーサーカー赤方偏移の仮面 (ハヤカワ文庫 SF 387)

あらすじ
遥かな過去、いずことも知れぬ星間帝国の間で恐るべき戦いが繰り広げられた。すでに死に絶えて久しい太古の戦略家たちは、敵領域へ放ってなにがしかの損害を与えるための無作為因子として、恐るべき戦闘機械――生あるものすべてを破壊するようプログラムされた巨大な恒星間戦闘要塞《バーサーカー》を建造し、宇宙へと放った。そしていま、この殺人機械軍団は、果てしない流浪のすえ、人類の星間帝国を発見したのだ!かくて人類対《バーサーカー》軍団との熾烈な戦いのひぶたは切って落とされた……大宇宙を舞台に、壮大なスケールで展開する一大戦争絵巻!

亮人::《バーサーカー》シリーズは、去年のクリスマスに難波の山羊ブックスさんで既刊全3冊をまとめて買ったんやったよね。
使い魔・ゲンキ君::そうそう恐竜展の帰りに寄ったガル。
亮人::そして、やっと読みはじめたと。
ゲンキ君::積みすぎガル!!
亮人::ゴメンゴメン。ちなみに発売順だと長篇の『皆殺し軍団』の方が先なんやけど、これは外伝的長篇だから、ストレートなシリーズ入門の『赤方偏移の仮面』から読みはじめたと。
ゲンキ君::シリーズのあらすじを簡単におさらいするガル。いつかどこかの忘れられた宇宙文明に作られた生物絶対殺すマシーン・バーサーカー。そのバーサーカーがついに地球の文明圏に到来。地球人がバーサーカーを知恵で迎え撃つ。っていうのが基本ストーリーだガル。
亮人::本書は連作短篇集で、短篇は「殺戮機械をトンチで撃退する話」と「古典や神話の換骨奪胎ネタの話」の2パターンある。
ゲンキ君::換骨奪胎ネタは、元ネタを知らないケースが多くて十全には楽しめないケースばっかりだったガルね!御主人の知識の浅さがアダになったガルねw
亮人::ううっ、図星。でも、トンチ合戦のパターンの短篇はサイコーに面白かった!裏のかきあいをしてたと思ったら、バーサーカーにお笑いを調教してたり、バリエーションが楽しい!これはシリーズ既刊全部あるんだから、全部(積まずに)読むしかない!
ゲンキ君::それでは各短篇の詳細感想に行ってみようガルー!

  • 無思考ゲーム

亮人::バーサーカーがチェス対決(正確にはチェスとチェッカーを併せたようなオリジナルゲーム?)を挑んでくる話。
ゲンキ君::「いやいやゲームで人間の思考パターンを探ってるヒマがあったら人間を武力殲滅しろや、なに遊んでんねんバーサーカー」とツッコミ入れてたガルねw
亮人::一応、思考を鈍らせる苦痛電波を放ったバーサーカーが効いてるのか確認するためにゲームを挑んだという事になってるけど。正攻法で殲滅しないところが面白いよね!
ゲンキ君::苦痛電波で行動不能になってる間に、代打ちするペット宇宙人も可愛かったガルね!ワンコとモンキーを混ぜたような宇宙人。まあゲンキ君の方が忠実で可愛いガルけどね!
亮人::はいはい、可愛いよ。では次の話。

  • グッドライフ

亮人::バーサーカーに捕虜として連れられた敵の船の中に人間が。そこにはなんと、バーサーカーが育てた人間がいて、機械にはできない仕事を奉仕していた。
ゲンキ君::バーサーカーに奉仕する人間は「グッドライフ」、殺すべき敵の人間は「バッドライフ」と区別してたガルね。
亮人::いやいや生物絶対殺すという理念はどうなった?仲間グッドライフと敵バッドライフとか区別するって詭弁やんww
ゲンキ君::バーサーカーがただの殺戮機械ではなく、奇妙な人間的思考もあるってところが、シリーズの魅力になってるガルね!

  • 理解者

亮人::絵描きが地球の文化をバーサーカーから守るために脱出してる所で捕虜に。捕虜中にバーサーカーの絵を描いたら、バーサーカーが絵の理解者になって解放してくれる。
ゲンキ君::その理由が面白いガルね。「バーサーカーのかっこよさを絵で広めるのだー」っていう理由ガル。
亮人::こんな理由でいいんだって笑っちゃったね!?

亮人::バーサーカーが辺境惑星に攻めてきた。手立てがないので、一人の男が和平&説得に行くと。絶対殺すマシーンのバーサーカーに説得が通じるのか?
ゲンキ君::どんでん返しに次ぐどんでん返しだったガルね!
亮人::和平成立と見せかけて、しかしバーサーカーは惑星に帰る和平使節団にウイルスを仕込んでて、でも使節団はウイルスを仕込まれてることは織り込み済みで。。。さてどんな冴えた対処をしてたのか?
ゲンキ君::これぞ頭脳戦ガル!

  • 宇宙の岩場(ストーン・プレイス)

亮人::古典や神話の換骨奪胎ネタのパターンの話
ゲンキ君::「レパントの海戦」が元ネタらしいけど、モチロン御主人は元ネタを知らないガルww
亮人::普通知らないでしょ!
ゲンキ君::まあとりあえず、人類の英雄ヨハン・カールセンがバーサーカーを壊滅寸前までボコボコにする話ガルね!

  • Tとわたしのしたこと

亮人::人類の極悪人がバーサーカーと手を組んだ。極悪人に対処するために、極悪人の脳の右脳と左脳をつなぐの脳梁切断手術をして、別人格にして、対処成功。
ゲンキ君::ってか右脳と左脳を別けたら多重人格が分裂するガルか?!
亮人::まあ1960年代の本だから御愛嬌ということでw

  • 道化師

亮人::おちゃらけ男がバーサーカーに出会った。そして連れて行かれたバーサーカーの船で、なぜかバーサーカーを調教して、殺戮軍団をお笑い軍団に仕立て直した!?
ゲンキ君::何でそうなるガル!?
亮人::しかも故郷の惑星にバーサーカーを連れてくる。その会見式場で盛大にバーサーカーお笑いを披露w
ゲンキ君::オチもキレッキレのお笑いだったガルね!
亮人::バーサーカーの宇宙要塞から巨大な合成たんぱく質の塊が投射される。これは「パイ投げ」ww
ゲンキ君::サイコーに笑ったガルねww

亮人::エドガー・アラン・ポオ『赤死病の仮面』を下敷きにした話らしい。
ゲンキ君::御主人はもちろんポオを読んだことないガルね!
亮人::ハイ、スイマセン。内容は、殺戮機械が迫っていても人類は内部で権力闘争する話。
ゲンキ君::人類の業は深いガルね。

  • 狼のしるし

亮人::お次は、文明が退化して牧畜を営んでいる惑星が舞台。
ゲンキ君::そこにもバーサーカーの陰が迫るガル。
亮人::しかしバーサーカーに反応して、忘れられた惑星防衛システムが起動。システムの迎撃承認を求める声が響く。
ゲンキ君::その声を神の声と勘違いした村人が、神を承認してしまうガル。結果、システムはバーサーカーを撃退するガル。
亮人::こういう勘違いネタおもしろいね!

亮人::チョーサー『騎士の物語』の換骨奪胎ネタ。
ゲンキ君::例の如く、元ネタ知らないガル。
亮人::毎度毎度、スイマセンね。ストーリーは、表題作の続きの話ですな。
ゲンキ君::表題作で超太陽の重力(ブラックホールみたいな)にとらわれた英雄ヨハン・カールセンを助けようという陣営と、バーサーカーを神と崇める陣営との、人類内紛劇だガル。
亮人::バーサーカーという神に殺されることが魂の救済になるとは狂信者もいたもんだな。
ゲンキ君::まあ実際の世界でも、狂信者はままいるガルしね。

  • 深淵の顔

亮人::最終話。また表題作の続き。ヨハン・カールセンの話。
ゲンキ君::バーサーカーを知恵で出し抜きながら、超太陽の重力圏にとらわれた英雄ヨハン・カールセンを助けて、未来に光が当たったところで終わりだガル。
亮人::元ネタがワカランとかグダグダ言ってたけど、なんだかんだで面白かったな!トンチ合戦とか。
ゲンキ君::折角シリーズ既刊全部一緒に買ってあるので追々全巻読もうガル!その前に、古典とか読書の基本を勉強だガルなw
亮人::それは(大仕事で面倒そうなので)言いっこナシで、お願いしますw

  • 無思考ゲーム
  • グッドライフ
  • 理解者
  • 和平使節
  • 宇宙の岩場(ストーン・プレイス)
  • Tとわたしのしたこと
  • 道化師
  • 赤方偏移の仮面
  • 狼のしるし
  • 軍神マルスの神殿にて
  • 深淵の顔

★★★★☆