筒井康隆編『'74日本SFベスト集成』
- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 1983/06
- メディア: 文庫
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あらすじ
(省略)
かんべむさし「決戦・日本シリーズ」目的でGETしたんだけど、評判どおりのドタバタで楽しかった!阪神タイガース対阪急ブレーブスの日本シリーズが沿線の対立にまで発展していく様子が戯画化され笑えた。トラキチはやっぱりクソだわw。ハヤカワ文庫のこれを表題とするかんべ作品集『決戦・日本シリーズ』とこの『ベスト集成』が同じ300円で売ってたんだけど、こっちを買って良かった!バラエティに富んだ作品が読めるし。(中古プレミア価値的には、表題作品集のほうが値打ちあったみたいだけど)
他の眉村卓小松左京筒井康隆豊田有恒星新一あたりの第一世代のトップランナーたちの短篇も、ひとつのシチュエーションを徹底的に思考実験されている小品たちで読み応え十分。とくに、眉村卓の爽快なビジョンと淡々とした主人公の対比が印象的なショートショート「屋上」、豊田有恒の一見ありそうでなさそうな場面をコミカルに描いた「渋滞」、筒井康隆の異様なシチュエーションだけどペーソスあふれる筆致が印象的な「佇むひと」、あたりが印象的。
マンガ2作も、絵があってこそのSFネタで読み応え充分。筒井さんの嗜好なのか、若干のグロ要素ありなのもご愛嬌w
筒井康隆のSF同人誌『NULL』発表の1ページの掌編を載せている高校生「亜羅叉の沙」をぐぐってみたら、いまの「牧野修」だという驚きも楽しいw
徹尾を飾る半村良の「フィックス」も、権謀術数を巧く書いており、はらはらどきどきでページをめくる手が止まらない。半村作品は長いのが多いし、SFなんかよくわからん印象だったんだけど、ここ最近で「およね平吉時穴道行」「農閑期大作戦」そしてこれを続けて読んで、初期SF短篇だけでも集めないとなーと思い直すようになった!
個人的白眉は真城昭「砂漠の幽霊船」。題のとおり、幽霊船が主人公で砂漠に迷い込む姿をコミカルに切り取ったなかなか楽しい、そして少しペーソスありな短篇でした。調べてみたらこの人、『宇宙塵』とか『NULL』などSF同人誌で活躍した人なのか。もっと読みたいな。
- 眉村卓「屋上」
- 小松左京「夜が明けたら」
- 筒井康隆「佇むひと」
- 豊田有恒「渋滞」
- 諸星大二郎「生物都市」
- 真城昭「砂漠の幽霊船」
- 星新一「有名」
- かんべむさし「決戦・日本シリーズ」
- 田中光二「スフィンクスを殺せ」
- 石川喬司「夜のバス」
- 亜羅叉の沙「ミユキちゃん」
- 河野典生「トリケラトプス」
- 永井豪「真夜中の戦士」
- 半村良「フィックス」
★★★★☆