- 作者: 今日泊亜蘭
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1978/05
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 2回
- この商品を含むブログを見る
あらすじ
天体物理庁の伊藤博士が、忽然と研究室から消え失せた。事件は月面で発見された奇妙な物質の研究中に発生、そして、現場に残されたのは意思を持つ水――自在に動きまわる液体だった。しかし、怪事件はこれが最初でも最後でもない。世界中の科学者が同様に消失、しかもさらに恐るべき異常事が進行中なのだった。なんと、海面がじりじりと上昇し、地球は海に覆い尽くされようとしているのだ!ミステリアスなタッチで手際の良いストーリイ展開をみせる表題作、名人芸的な文章のさえる「綺幻燈玻璃繪噺」など、超ヴェテランによる最新作四篇を収録。
現在の密林中古価格二千円だけど400円で発掘したので、鮮度の高いうちに笑。初・今日泊亜蘭。今日泊翁の作品集で、全4短篇ともに素晴らしい!明治生まれで、言語学に精通なされていたという作者は、日本語の発音を正確に表現しようという独自の日本語で文章を綴っており、「厶んすヨ(ござんすよ)」など独特のリズムで興味深い表現多数。戸惑う所もあるが、慣れればこれしかないといった佇まいの情緒。その風情だけに、「奇妙な戦争」の最後の落差を楽しめるし、表題作の侵略SFでも緊張感とペーソスに浸れるし、「綺幻燈玻璃繪噺」の明治の幻想に酔える。独自の世界を確立した名人芸のSF小説でした!創元SF文庫での早期の復刊を希望します笑
- ムムシュ王の墓
- 奇妙な戦争
- 海王星市(ポセイドニア)から来た男
- 綺幻燈玻璃繪噺(きねおらま・びいどろゑばなし)