くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

梓崎優『叫びと祈り』

叫びと祈り (ミステリ・フロンティア)

叫びと祈り (ミステリ・フロンティア)

あらすじ
砂漠を行くキャラバンを襲った連続殺人、スペインの風車の丘で繰り広げられる推理合戦、ロシアの修道院で勃発した列聖を巡る悲劇…ひとりの青年が世界各国で遭遇する、数々の異様な謎。選考委員を驚嘆させた第五回ミステリーズ!新人賞受賞作「砂漠を走る船の道」を巻頭に据え、美しいラストまで一瀉千里に突き進む驚異の連作推理誕生。大型新人の鮮烈なデビュー作。

これ本当に20代の新人?何者?推理の舞台が海外の辺鄙な特殊環境であり異彩を放っていると同時に、ミステリ的な技巧も素晴らしい。しかしなにより行間から匂い立つような異様な空気感は何なんだ?連作短篇でそれぞれの話から違う空気を放っており、この作家さんが今までどんな経験からこの多彩な話を書いたのかが気になる。しかもこの作者さん、ミスチル好きらしいとのことで共感。『HOME』のインスト曲「叫び 祈り」から着想を得るとは、相当感性が豊かと見た。創元の新人ミステリ作家アンソロ『放課後探偵団』で書き下ろされた作品も素晴らしかったが、これは要注目作家ですな。

★★★★★