光瀬龍『宇宙救助隊二一八〇年』
- 作者: 光瀬龍
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 1999/06
- メディア: 文庫
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あらすじ
惑星間航路の開設以来、《宇宙救助隊》によってどれだけ多くの宇宙船やその乗組員たちが難をまぬかれ、また命を助けられてきたことか。しかし伝説化さえしている彼らの姿を見たものは誰もなかった――暗く荒涼たる宇宙を舞台に活躍する者たちの姿を描く表題作をはじめ、無限の宇宙にひっそり息づく人々と文明の、苦闘と繁栄の歴史に刻まれたエピソードが、雄大かつ静謐に語られる《宇宙年代記》全十三篇。(裏表紙より)
光瀬龍の代表的宇宙SF短篇群《宇宙年代記》の全集の上巻。日本初の月面探査から惑星開発から火星の東キャナル市の繁栄まで、未来史的に全部60年代に書かれた短篇とは素晴らしい。また各作品が遠未来の歴史家ユイ・アフテングリによって記されたという設定も恰好良い。各短篇ミクロで見ると過酷な宇宙環境に犠牲を伴いながらも何とかに人類が勝利してるんだけど、全篇通してマクロで見ると宇宙の茫漠さ冷酷さが浮かび上がり、これが東洋的無常観かと納得。初期作のはずなのに完成度が高くて素晴らしいんだけど、宇宙の荒涼さを描いてるので鬱々としたラストの短篇が多くあまり晴れやかな気分になれないのが難点か。お気に入りは「墓碑銘二〇〇七年」と「標位星二一九七年」。
- シティ〇年
- ソロモン一九四二年
- 晴の海一九七九年
- 墓碑銘二〇〇七年
- 氷霧二〇一五年
- オホーツク二〇一七年
- パイロット・ファーム二〇二九年
- 幹線水路二〇六一年
- 宇宙救助隊二一八〇年
- 標位星二一九七年
- 巡視船二二〇五年
- 流砂二二一〇年
- 落陽二二一七年
★★★★☆