2009-11-16 森見登美彦編『奇想と微笑 太宰治傑作選』 小説 感想 奇想と微笑―太宰治傑作選 (光文社文庫)作者: 太宰治,森見登美彦出版社/メーカー: 光文社発売日: 2009/11/10メディア: 文庫購入: 33人 クリック: 977回この商品を含むブログ (30件) を見る「ヘンテコ」「愉快」をキーワードに編纂したとの編集後記の言葉通り、楽しかった。特に「令嬢アユ」が好きだった。太宰って意外に女の子の爽やかさを書くのが上手いって『パンドラの匣』を読んだ時から思ってたけど、「令嬢アユ」でも本領発揮。で、この爽やかさとの対比でオチが引き立つ(と言いつつこのオチはネットで調べるまで分からなかったんだけど…)。それと「親友交歓」も素晴らしい。このタイトルからして皮肉がきいてて良い。森見解説の通りホラーの域だけど、実際にこんな奴いるよね。他に良かった作品は「失敗園」「貨幣」「新釈諸国噺」あたり、あと勿論「畜犬談」は鉄板。あと「女の決闘」の鷗外の翻訳した作品を太宰が妄想解説して、それを更に森見さんが解説するという入れ子構造には、何故か感動すら覚えた。それにしても太宰作品読んできて思ったのは、森見&太宰って共通点あるよねって事。例えば、事実か虚構か分からないようなエッセイとか、擬人化(しかも両者とも狸)とか、他人の作品を勝手に新釈とか、書簡体小説とか、あと「おともだちパンチ」とか。 失敗園 カチカチ山 お伽草子より 貨幣 令嬢アユ 服装に就いて 酒の追憶 佐渡 ロマネスク 満願 畜犬談 親友交歓 黄村先生言行録 『井伏鱒二選集』後記 猿面冠者 女の決闘 貧の意地 新釈諸国噺より 破産 新釈諸国噺より 粋人 新釈諸国噺より 走れメロス ★★★★☆