くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

ジェイムズ・ブリッシュ『宇宙播種計画』

あらすじ
(調査中)

人類を宇宙植民&播種するのに、ドーム都市やテラフォーミングではなく、人間の方を遺伝子改造して異星の過酷な環境に合わせよう、というコンセプトの短編集。ガニメデのアンモニアを血液とした人類、樹上生活のための猿型人類、タウ・ケチの顕微鏡サイズの水棲人類、リゲルのアザラシ人類。どれもSFでしかあり得ない想像力で素晴らしい。特に「表面張力」は白眉。微小な水棲人類が新たな宇宙を求めて水上へ向かう冒険心には感動。微小ゆえに表面張力が大きな壁になるという、SFでしか見せられない水中の景色は心動かされる。異形の人類でも、人類のスピリットは変わらないし、ここまで共感してしまうとは!これが旧銀背でしか読めないとは、本当にもったいない!

  • 播種計画

(調査中)

  • 屋根裏の物

人間を受精卵の段階でいじって異星の環境に耐えうる新人類を作って外宇宙に植民させようという播種計画。今回の舞台はもう植民済の森の惑星。新人類は猿型人間!樹上生活してます。樹上に広大な網を張ってその上で皆生活。下の世界は「地獄」と言われ、罪人が送られる所。皆、聖書『戒律の書』にある神「巨人」を信じて暮らしている。しかし主人公ホーナスはその神の存在に疑問を持った事から罪人に。「地獄」に送られる。その地獄の謎を解き明かす大冒険がはじまる!異星の鮮やかな描写が面白かった!思ったよりハードな地獄。怪獣が出てきたり弱肉強食、大自然の驚異ですな。そして出会う「巨人」。まぁ巨人の正体が予想通りなのはご愛嬌!ってかこの惑星、ただのジャングル惑星だし、別に猿型人間に遺伝子改造しなくても普通の人間でも植民できたんじゃないか?!笑

  • 表面張力

素晴らしいSFだった!感動!宇宙植民のために、遺伝子操作で異星の様々な特殊環境に耐える生態に改造された人類。タウ・ケチでは顕微鏡サイズとなり胞子から産まれる水棲人類が主人公。はじめの世代は肉食生物から身を守るために集団で戦う術を学んでいく。やがて数世代進むと機能的な集団生活が営まれていく。しかしこの世界の外への探求心が生まれてくる。水の中の世界と、その上にある謎の空間。見上げることはできるが、しかし顕微鏡サイズの人類からしたら表面張力で外の世界には簡単には飛び出せない。しかしそれに屈せず進む水棲人類たち。異形の人類なんだけど、共感応援せざるを得ないパワーがある!そして外の世界には何があるのか?この探求心向上心こそが人類だ!本当に胸がドキドキする冒険の数々で、傑作!これはいい翻訳SFを読んだという満足感!ブリッシュはこれからも読んでいかねばならぬね!

  • 分水界

(調査中)

収録作品

  • 播種計画
  • 屋根裏の物
  • 表面張力
  • 分水界

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コテコテの「もの」

広瀬正先生の「もの」という作品へのオマージュショートショートです。

第一の学者がいった。
「私は、この『もの』は古代原住民が使用した武器の一種であろうと考えます。この『もの』を手に持って相手を殴れば、顔面等に相当の被害を与えることが出来ます。又、相手の攻撃を受けとめるのにも、この『もの』は使用出来ます。この複数の陥没は、そうして出来た物なのです。おそらく古代原住民は日常、護身的にこの『もの』を使用したのでしょう」

第二の学者が立ち上がった。
「私は、この『もの』が武器であるとは思いません。この『もの』には、複数の陥没している部分がありますが、規則的な配列で、その表面が少し焼滅しています。この表面部分から色々の物質が検出されましたが、私はその中に古代原住民が好んだという植物ムギの成分があるのを発見しました。古代原住民は、一種の嗜好物として、この陥没した部分でムギを焙煎して、その香りを楽しんでいたのではないでしょうか」

第三の学者の番がきた。
「私は両先生の御意見にはまったく賛成出来ません。お二人とも、この『もの』にある陥没を勘違いなさっている。この陥没を裏返してみると突起となります。この突起という発想こそ、この『もの』が何であるかを解明する重大な鍵になると思うのです。私は色々と研究した結果、この複数の突起の位置が、古代原住民の椅子の座面に、ほぼ一致することに気がつきました。古代原住民は、この『もの』の上にフォーマルな座り方、つまり正座をしていたのです。よって私は、この『もの』は古代原住民が何か医療の目的の為に座っていた物であろうと推察します」

だが、第一の学者も第二の学者も、自説を主張してゆずらなかった。とうとう、結論はでなかった。
やむをえず、タイムマシンが使用されることになった。
しばらくして、一人の古代原住民がタイムマシンにのせられて、連れて来られた。
古代原住民はいった。
「この『もの』が何やってゆうんか、お尋ねでっか?これは、このままやったら使えまへんがな。ええっと」
男はあたりを見まわして、部屋の隅にあった着火調理器を持ってきて、その上に『もの』をのせた。
「やはり焙煎ではないか」
第二の学者はいったが、男の作業はまだ続いた。男は自分の懐から、小麦の粉を水で溶いた物とタコを取り出した。そして、おどろくほど器用な手さばきで焼きはじめた。
やがて男は焼き上がった物を見せて、口に頬ばりながら、いった。
「これは『たこ焼き器』という『もの』でっせ〜ハフハフ」

大化の改新

中大兄皇子はパソコンの前で悪戦苦闘していた。ワードだ。ワープロソフトを立ち上げたまま手を止めてしまった。
「このイルカめ」
皇子は画面の端で「キュイキュイキュイ」と鳴くイルカにイライラしていた。
イルカとは、ウィンドウズで文書作成や表計算をするためのマイクロソフト・オフィスに標準装備されていた、あのアシスタントのことである。このイルカに操作方法などを聞くと何でも答えてくれるという仕組みなのだが、いつも画面の端で「キュイキュイキュイ」と目障りに鳴くので、うとましく思っていたユーザーも多かっただろう。
皇子も例にもれず「イルカ お前を消す方法」と検索していた。
「絶対にイルカ、お前を消してやるぞ」


蘇我入鹿中大兄皇子の仕事部屋の前まで来ていた。友達である皇子に「蒸しご飯」を食べさせてあげようと、わざわざ作って持ってきたのだ。蒸しご飯は二人の共通の好物で、入鹿はたびたび皇子の元へ差し入れに来ていたのである。
「てんぢ皇子君、喜んでくれるかな〜」
今日も入鹿は会心の出来の蒸しご飯を手に、ウキウキで皇子の部屋のドアノブに手をかけた。そのとき、中から声が聞こえた。
「絶対にイルカ、お前を消してやるぞ」


入鹿は飛び上がった。
「て、てんぢ君?」
皇子の「入鹿を消す」との物騒な言葉に入鹿は部屋に入るのをためらった。
入鹿は震えながらも、さらに聞き耳を立てた。
「たしか鎌足のやつがパソコン得意だったよな。鎌足に『教本』を借りるか?」
鎌足共犯?!」入鹿の震えは止まらなかった。鎌足君といえば、入鹿も共通の友達である中臣鎌足。その鎌足君が凶行の共犯とは。友達二人が自分を消そうとしている。その恐ろしさに戦慄した。
さらに部屋から声は聞こえてくる。
鎌足への対価はシャーペンの替え芯くらいでいいかな?対価は替え芯
大化の改新!?この凶行計画にすでにカッコイイ名前まで付けている」入鹿は泣き崩れた。
皇子の独り言はまだ続く。
「あ〜だるい。もう飲みてぇ。検索するか『一旦付近の飲み屋』」
板蓋宮!凶行の予定地は板蓋宮か!」板蓋宮(いたぶきのみや)とは、奈良時代飛鳥京にあった皇居である。ここが大化の改新の舞台になると知った入鹿は放心状態となった。
一方、皇子は飲みのことで頭がいっぱいになっていた。
「飲むとなったら、サシ飲みか。誰とサシ飲みか?入鹿か。入鹿だな!入鹿とサシ飲みしてぇ
入鹿を刺し殺してぇ?!」ついに皇子の本音を聞いた入鹿はすでに茫然自失。友達に裏切られたことで全てが暗転した。だが意を決して部屋に踏み込むことにした。
「おい!皇子君!」
「やぁ入鹿君。ちょうどよかった。今からグビッと一軒いかないか?」
クビを一閃!?斬首!?もはやここまでか」入鹿はついに失神したのだった。

ナガノ『MOGUMOGU食べ歩きくま(2)』

MOGUMOGU食べ歩きくま(2) (ワイドKC)

MOGUMOGU食べ歩きくま(2) (ワイドKC)

  • 作者:ナガノ
  • 発売日: 2019/11/22
  • メディア: コミック
大人気の「自分ツッコミくま」ちゃんが、ただただ日本全国を食べ歩きする本。1巻は貸してくれなかったので、2巻から。でも全く問題なし!
江ノ島、千葉(海ほたる&勝浦タンタンメン)、スカイツリー(押上&ソラマチ)、北海道、ビジホでカップ麺、日帰り仙台(ずんだ&松島)、足柄サービスエリア豊洲市場、ミッドタウンでピクニック、マクドナルドヤケ食い。どれも本当に美味しそうで!くまちゃん、メチャクチャ食レポの表現力あるし!ここまで言葉だけで味を魅せるとは、すごすぎる!そしてすごく旅慣れてるのも面白い!すごい経験値なんだな。
これは1巻も探して読まねば!!
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『ガンダムビルドダイバーズRe:RISE』全26話

自分勝手な所もあったメンバーが本当の危機に直面して成長する、本当に熱い展開でした!最終回も今までのキャラクタが勢ぞろいして、熱すぎる!バトルも熱すぎる!本当にいい最終回でした!最高です!オレもガンプラでバトルがしたい!!

第51回星雲賞発表

第51回星雲賞発表 長編部門は小川一水『天冥の標』メディア部門に『彼方のアストラ』【受賞作リスト掲載】 | VG+ (バゴプラ)

有栖川有栖『スウェーデン館の謎』

スウェーデン館の謎 (講談社文庫)

スウェーデン館の謎 (講談社文庫)

あらすじ
(調査中)

亮人::どぅおもー!漫才風読書感想でーす!
使い魔・ゲンキ君::今回は、有栖川有栖先生の『スウェーデン館の謎』だガル!
亮人::《作家アリスと火村英生》のシリーズ、5冊目やな!
ゲンキ君::着々と読んでいってるガルね!
亮人::やっぱり火村シリーズは読みやすいし、殺人事件もフェアなミステリだし、読みたくなるよね!
ゲンキ君::それで今回の舞台がまた良い所だったガルね!
亮人::BANDAIさん!
ゲンキ君::そうそうそう、バンダイのプラモデル作ろう。。。ってコラ!福島県磐梯山だガル!
亮人::アリスが一人で裏磐梯のペンションへ取材旅行に行ってたんよな。
ゲンキ君::そして偶然出会った、ペンションのお隣のログハウス・スウェーデン館の方たちと仲良くなるガル。
亮人::スウェーデン館の主人は絵本作家として有名な方で、その奥様も美貌のスウェーデン人なんよな。お二方共に良い人で!
ゲンキ君::しかしお二方には、数年前に小さい息子さんを亡くされたという暗い過去も。
亮人::そしてそれに絡んで起こる殺人!
ゲンキ君::雪密室だガル!
亮人::雪の足跡から、犯人が現場に行った形跡がない。これぞ雪密室や!
ゲンキ君::今回もしっかりロジックが組まれた解決で好感だったガルね。
亮人::ってか有栖川作品はいつも悲しい事件が多いよね。
ゲンキ君::そうそう。極悪人は少なくて、普通の人のやむにやまれぬ事件が多いガル。
亮人::うんうん、そこが有栖川作品の惹かれる所でもあるよな。しかしそれよりもこの本で一番に特筆すべきことがあるんや!火村英生のことよ!
ゲンキ君::そうガル!火村は、アリスから事件を聞いて、京都から磐梯山まで半日で飛んでくるんだガルよね?!
亮人::アリスの危機に、仕事を放っぽり出して福島まで駆けつけるとか!この火村英生のアリス愛よ!?
ゲンキ君::そんなだから、この二人はいつまでも独身なんだガル。
亮人::アリスなんて、ほんま異性慣れしてないしな。美貌のスウェーデン人奥様の前で中学生みたいなムーブをかましてたしなw
ゲンキ君::もし女性から迫られても、モジモジするだけで終わりそうだガル!?
亮人::昔からよく言うしね。「すうぇーでん食わぬわ男の恥」ってww
ゲンキ君::それをいうなら「据え膳」だガル!
亮人::もっと女に積極的に「東京インテリア」や。
ゲンキ君::東京インテリア?
亮人::あ間違った。もっと女に積極的に「イケア」!
ゲンキ君::スウェーデンの家具屋!たしかに東京インテリアとIKEAは同じ家具屋なのに隣同士にありがちだけれども!
亮人::積極的に行けや!
ゲンキ君::もうやめさせてもらうわん!ガルガル!!!
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