くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

白樺あじと『流されないように』


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流されないように
作者:白樺あじ
出版社/メーカー:シーラカンス・バカンス
発売日:2021/11/23
メディア:文庫判(A6)

本格ミステリー×青春ミステリー】男子高校生の小石(こいし)はある放課後昇降口で見知らぬ少女に声をかけられる。彼女のクラスで起きた事件、その犯人が小石だというのだ。身に覚えのない疑いをかけられた小石はやむなく彼女と共に事件の謎に挑む。
そして月日は過ぎ、再び小石はとある事件に巻き込まれるのだが――。
どこまでもビターでどこまでもダークな高校生たちの青春本格ミステリー。

文フリ大阪でgetした本。今まで文フリで出会った中で最推しの作家さん。青春ミステリを得意とされていて、本作も同ジャンル。
高校の下足ロッカーにあった上履きが堆肥だらけにされる事件。体育の時間中なので、アリバイから犯人を特定していく。そして第二の事件。教室の女子の机すべてに水が掛けられていた。クラスのいじめも含めつつ、意外な真相が。
「青春ミステリは事件を解き明かしても人間関係など問題は解決できないという機能不全がある」とあとがきで述べられているように、本作も苦い後味。青春ミステリらしくて好き。事件を理論的に限定していって真相まで辿り着く気持ちよさと、自分の問題は座礁したままという対比がいい。さすが!
あとがきも(初めて?)付いていて、白樺あじと先生の読書歴が知れたのも嬉しい。読書量すごい。この蓄積で素晴らしい作品が書けるんだな。米澤穂信先生の『愚者のエンドロール』に本作も影響されてるのは分かる。他の挙げられていた本は探してみよう!