くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

ジョー・ウォルトン『バッキンガムの光芒 ファージング3』

バッキンガムの光芒 (ファージング?) (創元推理文庫)

バッキンガムの光芒 (ファージング?) (創元推理文庫)

あらすじ
ソ連が消滅し、大戦がナチスの勝利に終わった1960年、ファシスト政治が定着したイギリス。イギリス版ゲシュタポ・監視隊(ザ・ウォッチ)の隊長カーマイケルに育てられたエルヴィラは、社交界デビューと大学進学に思いを馳せる日々を過ごしていた。しかし、そんな彼女の人生は、ファシストのパレードを見物に行ったことで大きく変わりはじめる……。すべての読書人に贈る三部作、怒涛の完結編。(裏表紙より)

歴史改変SF、ファージング三部作の最終巻。第二次大戦でのナチスとの和平講和から19年後のファシズム国家と化した英国を舞台に、英国版ゲシュタポの隊長となってしまったカーマイケルのファッショの波に抗う暗闘と、社交界デビュウ間近の少女が歴史の波に飲まれていくのが平行して書かれており、目が離せず読んだ。滅茶苦茶おもしろい!!オールタイムベスト級!!!民意ってのは簡単に操作されうるという恐ろしさと、希望を捨てない人々への賛歌を描ききった事が本当に素晴らしい。それにしてもジョン・レノンの暗躍には笑った。作中で「英国に力を!!」って歌って民衆を煽ってるんだけど、史実では多分これ「power to the people」だろ。「ピープル」のほうは「人民に力を」と訳されるように、労働者のための左寄りの歌なんだけど、改変歴史ジョン・レノンは思いっきりファシストとか。とりあえず、暗闇の中でも精一杯希望を持って生きる人々の姿を描いており素晴らしかった。God Save the Queen!!
★★★★★