くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

レン・デイトン『SS-GB(下)』

SS‐GB〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)

SS‐GB〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)

あらすじ
片腕の容疑者を追うアーチャーの前には迷宮のような世界が広がっていた。新興勢力たるナチ親衛隊とそれを快く思わないドイツ国防軍、そして両者と交渉して国王奪還を図る抗独グループ。その三者が怪しげな動きを見せていたのだ。どうやら殺人事件の背後にはドイツの新兵器開発計画が絡んでいるらしい。捜査を続けるアーチャーはやがて歴史を揺るがす秘密作戦に捲き込まれていく!本書は占領下の英国のリアルな描写が話題を呼び、同国でベストセラーの上位を何週間も占め続けた。スパイ小説と戦争冒険小説の魅力をあわせ持った巨匠の異色作!

ナチスドイツ占領下のイギリスで、幽閉されている国王・ジョージ6世の奪還を目論むレジスタンスや核開発計画をめぐるドイツ国防軍ゲシュタポの小競り合いなどを、陰謀に巻き込まれるスコットランドヤード警視・アーチャーの視点から描く警察小説スパイ小説戦争小説。歴史の転換といった大局ではなく、ただアーチャーの視点で閉塞的なイギリスを淡々と描く筆致の臨場感は素晴らしい。淡々としすぎて途中やや散漫とした感じもするが、複雑に絡み合う政治的陰謀の果てに見えるラストが衝撃的。
(追記英国王のスピーチの人がこんなことになるなんて悲しい)
★★★★☆