くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

小林泰三『肉食屋敷』

ジュラシック・パークに刺激された研究者が、6500万年前の地層の中にあるDNAから地球外生命体を復元してしまう「肉食屋敷」、西部劇をモチーフにゾンビの世界を描いた「ジャンク」、人間の一途な愛が恐怖を生み出す「妻への三通の告白」、自分の中にあるもう一つの人格が犯した殺人に怯える「獣の記憶」。現実のちょっと向こう側に渦巻く恐怖の世界を創り上げた傑作短篇集。

期待に違わず面白かった!どの話も怖さに加えて驚きもあって安定の上手さ。
表題作は、マッド科学者が恐竜を復活させようとする話。ジュラシックパークから着想を得て、まさかこんな話になるとは!?気色悪い!
「ジャンク」は西部劇風。しかし人体改造や内蔵を再利用したパーツなどグチョグチョした世界観。世界観はいい発想だけど、展開はストレート。
「妻への三通の告白」はサイコホラー。愛の手紙なのに、こんなサイコになるのが小林泰三先生よね!そしてこれはナイトスクープでもみたことある!?
「獣の記憶」は多重人格ミステリ。なかなか意外な展開の連続で面白かった!そういうオチになるとはね!
さすが小林泰三先生、ホラーでも怖いだけじゃなく理論と仕掛けもあってサービス精神旺盛な短編集だった!