くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

小川一水『青い星まで飛んでいけ』

青い星まで飛んでいけ (ハヤカワ文庫JA)

青い星まで飛んでいけ (ハヤカワ文庫JA)

あらすじ
それは人類の普遍的な願い――彗星都市での生活に閉塞感を抱く少女と、緩衝林を守る不思議な少年の交流を描く「都市彗星(バラマンディ)のサエ」から、“祈りの力で育つ”という触れ込みで流行した謎の植物をめぐる、彼と彼女のひと冬の物語「グラスハートが割れないように」、人類から“未知の探求”という使命を与えられたAI宇宙船エクスの遥かな旅路を追う表題作まで、様々な時代における未知なるものとの出逢いを綴った全6篇を収録。(裏表紙より)

安定安心の小川一水SF短篇集。「グラスハートが割れないように」「静寂に満ちていく潮」「青い星まで飛んでいけ」が特に良かった。「グラスハート」は、「マクロビ+水からの伝言」的なものがテーマ。SF好きはこういう科学的根拠が薄弱なものを断罪しがちだけど、そういうものにハマる人たちを切り捨てないラストが小川一水らしくて良い。「静寂に」は、異星人との性愛テーマ。フィリップ・ホセ・ファーマーの『恋人たち』に比肩しうる出来ばえで一番好きかも。「青い星まで」は、アーサー・C・クラーク追悼オマージュ作品。『幼年期の終り』のラストの人類から連なり、上帝までからめながら、人類の性質まで語る、中々の力作。

  • 都市彗星(バラマンディ)のサエ
  • グラスハートが割れないように
  • 静寂(しじま)に満ちていく潮
  • 占職術師(ヴォケイショノロジスト)の希望
  • 守るべき肌
  • 青い星まで飛んでいけ

★★★★☆