- 作者: 飛浩隆
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2004/09/08
- メディア: 文庫
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- デュオ
テレパシーでつながる双子の天才ピアニストの間に潜む第三の人格とは、、、という話。音楽SF、というよりはむしろホラー小説かも。名なしは情報生物(死んでるから生物ではないけど)、情報統合思念体みたいなもの??
- 呪界のほとり
呪界からはずれてしまった男と竜が老人と出会い呪界に戻る話。ファンタジーかと思いきや宇宙が舞台。呪界の存在がファンタジックな雰囲気を与えていると思う。
超高速航行と即時通信技術は宇宙を情報テクスチャと解し、そのテクスチャを折り畳むことによって超高速伝達を可能にする。その超高速伝達のネットワークが超稠密にはりめぐらされた時、宇宙の折り畳みが限度を越し、宇宙の基本的性質が変わり、誰でも回廊や遠耳や水寄せなどの力がデフォルトで使えるようになった宇宙、それが呪界ということらしいです。それが長い年月経ってファンタジックな世界になったっていうことか。
- 夜と泥の
テラフォーミングの際に少女のデータが入り込む。その後200年間、夏至の夜になるとその星の沼沢地から少女が生えてくるという話。
舞台も細部も全く違うが根底に流れているテーマが『デュオ』に類似しているように思う。
- 象られた力
謎の消失をとげた惑星<百合洋>*2で使用されていた図形言語についての物語。
最後の「かたち」の崩壊と「ちから」の暴走のシーンは、イーガン『宇宙消失』のクライマックスシーンを彷彿とさせる壮絶な描写だった。
図形言語って『ミステリックサイン』のことでOK??