くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

伊藤典夫・浅倉久志編『冷たい方程式』

あらすじ
ただ一人の乗員を目的地まで届ける片道分の燃料しかない緊急発進艇に密航者がいたとしたら、パイロットの取るべき行動は一つ――船外遺棄!だがそれが美しい娘で、たった一人の兄に会いたさに密航したのだとしたら?SF史上に残る記念碑的名作「冷たい方程式」ほか、思うままに空を飛べるようになった大学教授の悲喜劇を巨匠アシモフがユーモラスに描く「信念」など、よりすぐった6中短篇を収録した待望の傑作集!

新旧『冷たい方程式』読み比べを開催。結果を言うと、旧版のほうが圧倒的にSFのベスト集で好き。白眉は「大いなる祖先」。人類に対してシニカルな視点で風刺の効いたオチは切れ味がよくて、大好き。「接触汚染」も、バイオハザード的パニックものでありながら、最後に人の容姿とアイデンティティを問う、極めて現代的なテーマ性で良い。「過去へ来た男」は、SF的ネタは取り立てて優れているわけではないが、10世紀のアイスランドへタイムスリップという珍しさに高評価。ほかの短篇も、捨て作品が無い。さすが「SFマガジン・ベスト」だ!!

★★★★★