くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

森見登美彦『宵山万華鏡』

宵山万華鏡

宵山万華鏡

幼稚園の頃の話。雨の日、俺は一人で傘をさしながら幼稚園に向かっていた。長靴をはいた子供なら誰でもすると思うが、俺も例に漏れず水溜りに飛び込んでは水飛沫をピチャピチャさせたりして遊びながら登園していた。次の水溜りに移ろうと両足を水溜りに入れた途端、ズンと水溜りの下のほうに沈んでゆく感覚が。道路の水溜りなんて水深1センチもないぐらいなのに、ぐんぐん長靴の足首ぐらいまで沈んでいく。俺は怖くなって飛び逃げた。そして家に逃げ帰った。あれはなんだったのか?あのまま沈んでいたら俺はどうなったのか?という幻想的な出来事をこの本を読んでいて思い出した。
して『宵山万華鏡』の話。『夜は短し』の阿呆大学生の要素少しを『きつねの』の幻想の祇園祭宵山で包み込んだような、今までの森見作品の集大成なんじゃないだろうか、と感じた。森見作品特有のスターシステムや各話の構成つながりが計算されているのも森見作品らしくて良いと思う。あと孫太郎虫はググったらこの世のものとは思えないほど気色悪かった。高藪さんこんなもん食わされるって拷問以外の何物でもない。
★★★★☆