くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

機本伸司『神様のパラドックス』

神様のパラドックス

神様のパラドックス

表紙の主人公直美見てたら何か伊藤かな恵に見えてきた、とかそんな妄言はどうでもよくって機本伸司待望の最新刊の話です。俺の中では機本伸司は劣化イーガンな訳で、イーガンと言えば最新科学とアイデンティティの二本柱である。本作に当てはめて見ると、最新科学は「量子コンピューター」で、例に漏れず俺の理解には到底及ばない科学トピックス頻出で、それを訳知り顔・知ったかぶりで読むことによって賢くなった気分を味わうのです。もう一本の柱のアイデンティティは今作では神様のアイデンティティで、神様と言っても量子コンピューター内で走らせた擬似神様だけど。でも残念なのは、存在理由に悩む神様AIを役に立たないからって途中で消去しちゃうところだよな。最後まで神の創造を突き詰めて書いて勝負してほしかった*1。最後は主人公直美のアイデンティティの問題に帰結していった終わり方は無難な着地かな。オチの分散コンピューティングは何処かで見たことのあるネタだなと思ってたら『神様のパズル』か。前作との関連を見せるやり方は結構好きな展開*2
評価:★★★☆☆

*1:ここらへんがSFマガジンで言ってた理論の脆弱性かな?

*2:これもSFマガジンにネタバレされてて新鮮味が薄れてたけど