- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2000/09/01
- メディア: 文庫
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あらすじ
膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちから――「常野」から来たといわれる彼らには、みなそれぞれ不思議な能力があった。穏やかで知的で、権力への志向を持たず、ふつうの人々の中に埋もれてひっそりと暮らす人々。彼らは何のために存在し、どこに帰っていこうとしているのか?不思議な優しさと淡い哀しみに満ちた、常野一族をめぐる連作短編集。(裏表紙より)
恩田陸は空気雰囲気を作るのが滅茶苦茶うまい。たとえば『夜のピクニック』では高校生の青春のもやもやとした雰囲気が型にピッタリはまって見事だった。空気を作るのが抜群にうまい代わりに、ストーリイの落とし方がぐだぐだしてしまうこともあるけど(笑(特に『ねじの回転』、空気感は素晴らしいのにSFとしての落とし方が…)。本書は、連作短篇でそれぞれの話の色が違うのに、全編を通して思い返してみると何とも静謐な常野一族の全貌が浮かび上がってくるようで素晴らしい。超能力SFの良作。
★★★★☆