くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

暇屋乃戸『スイート・スイート・テラリウム』

スイート・スイート・テラリウム
作者:暇屋乃戸
出版社/メーカー:暇屋乃戸
発売日:2022/06/25
メディア:コピー本

友達でも恋人でもなかった中学時代の同級生。「僕」と田沼詩織は数年越しに夜の街で再会する。昔と変わらないところ、大人になったところ。2人のひと夏の邂逅と、小さな前進を描いた短編。

文フリ大阪でgetした本!
なんか静かだけど心にくる話だった!
居酒屋で働く主人公。仕事後の夜の街でたまたま元同級生、田沼詩織と再会。中学時代の二人の思い出をカットバックしながら、これからどう進むかが描かれる。
この中学時代の二人の描き方がなんか良い空気感だった。お互い家族関係で影がありながらも、それを薄々分かりつつ軽く語り合う。捻くれた気遣い。センチメンタルで心に刺さる。
表題の、テラリウムの瓶に入ったお菓子の比喩も、共感。大事な物を置きすぎてダメにするタイプだから。
ラストの二人の会話も、この二人らしくていい。また外の世界で再会してほしい。
オマケの幕間も、詩織側から見た中学時代の会話シーンで、いい雰囲気。
読むほどに二人の思いを思索してしまう、短文では感想書けない色々考えられる作品でした!また他の作品も読んでみたい。