あらすじ
第二次世界大戦後のルーマニアの政情を背景に、現実世界と神話的世界の交錯のうちにカフカ的状況がかもし出される。宗教学者・文学者エリアーデの代表的幻想小説。
ルーマニアの幻想小説。米澤穂信先生の『米澤屋書店』でベストに挙げられていたので手にとってみた!フィルマというムントゥリャサ通りの小学校の元校長。内務省の秘密警察に。そこで拘束。フィルマは取調べで過去を語り始めるが。秘密警察側はAを知りたいのにフィルマは「Aを理解してもらうためにはまず何年前のBから説明を」とどんどん話を継いでいって仕舞いには200年前の出来事を語りだす。この語りも現実なのか幻想なのか。幻惑。信頼できない語り手すぎる。しかしその語りによって秘密警察側が疑心暗鬼になっていくという監視国家への風刺が面白い。結局この語りに答えはあったのか、幻惑されたまま。とらえどころのない、唯一無二の小説だ!面白かった!