くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

イアン・ワトスン『オルガスマシン』

オルガスマシン (竹書房文庫)

オルガスマシン (竹書房文庫)

あらすじ
カスタムメイド・ガールたちは、コンクリートの島で造られる。男たちの妄想と欲望が具現化された姿で。箱に入れられ、ご主人のもとへと出荷されたカスタムメイド・ガールたちを待ち受けるのは、男による男のための世界の男たち…。巨大な青い眼を持つジェイド。彼女は人肌を着てセックスさせられ、股間に伊勢海老を装着した醜悪な老人に迫られる。六つの乳房があり、顎に乳首が付いているハナ。彼女が届けられた先は、ファック・イージー・バー。ウェイトレスとして働きつつ、コイン一枚でファックされる。猫のような耳と毛皮を持つマリ。彼女のご主人は動物調教師。檻に入れられキャットフードを与えられ、鞭で獣として調教される。乳房が引き出しになっている重役用娘のキャシィ。ボスの煙草入れとして、パーティで愛想を振りまきながら、乳房に詰められた葉巻を提供する。人間すなわち男である世界で、苛烈な運命に翻弄され、心を失い、絶望の果てにカスタムメイド・ガールたちは手を握った。

マイフェイバリットなSF作家であるイアン・ワトスン。本国では出版拒否されて、フランス語版しか出せなくて、日本では2001年にエッチい表紙の単行本として出てた本書。しかしその単行本も入手困難だった。その幻のワトスン処女作が文庫化ということなら読むしかない!近未来。社会は完全に男中心。女は男の性的嗜好に合わせたオーダーメイド改造人間「カスタムメイド・ガール」として生まれてくる。猫女やトカゲ女や家具のような女など、いびつな形で創造された女たち。そんな女たちの反攻の物語。うーん。ワトスンは、アイデアは超ヘンテコで最高なんだけど、ストーリーテリングがヘタクソなんだよなー。本書も推して知るべし。ってかワトスン、これ最後のダジャレ「Our Women」を言いたかっただけちゃうんかーい!?ほんまヘンテコな小説を書きよるわ!最高!そもそもこの小説を思い付いたのが、日本で大学の講師をしてたとき、三重県鳥羽市の御木本真珠島で裸の海女さんが養殖の真珠を取ってるところを見て「養殖の裸の女を育てる島の話を書こう」って思ったことからとか。フザケてるだろ!なんという発想。近未来のラッキーホールみたいなのも出てくるし。あの昭和の古い安っぽいエッチい施設、ラッキーホール。ということはワトスンも大学講師時代、ラッキーホールに行ったのか!?それはそれで興奮するwwというゲスい妄想もしてしまう。まぁエロとしてもSFとしても一級品ではない。それらを期待するなら、トマス・M・ディッシュの「犯(ヤ)ルの惑星(Planet of the Rapes)」(国書刊行会 『アジアの岸辺』収録)の方が断然いい!あっちの方がエッチいし!でもなぜかワトスン作品は惹かれてしまうんだよなー。
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