くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

フィリップ・ホセ・ファーマー『果しなき河よ我を誘え』

あらすじ
青い空が上にあった。英国の冒険家リチャード・バートンが死の眠りから目覚めた時、最初に目に入ったのがそれだった。次に、緑の草原と、幅一マイルはある《河》。この大河の両岸に、ネアンデルタール人から21世紀人にいたる、すべての地球人類が復活していたのだ!だれがこのリバーワールドを創りあげたのか?その目的は?またなぜ21世紀初頭に人類は滅亡してしまったのか?様々な疑問を胸に、ネアンデルタール人のカズ、くじら座タウ星人、ビクトリア朝の淑女アリスらと共に、バートンは果しなき河を遡る探索の旅にでたが……1972年度ヒューゴー賞受賞に輝く傑作長篇。

《リバーワールド》第一巻。小林泰三先生がオススメしてらして、長年集めてて昨年やっとコンプ。新年から読書はじめて、メッチャ楽しかった!今まで地球で死んだ全人間の約360億人が、草原と河だけの謎の世界で一斉に目覚めて、冒険するというお話。はたして果しなき河の先には何があるのか、この世界を作ったのは誰なのか?『アラビアンナイト』のバートンを主人公として、『不思議の国のアリス』のモデルのアリス、ネアンデルタール人のカズ、地球で死んだくじら座タウ星人のモナト、作者自身を投影したフリギット、敵のナチスゲーリングまで、登場人物が魅力的。みんな平等に食料も供給されて、安定した生活が保障されている世界なのに、争いあい他者を支配しようとするのは、人間の闘争本能の激しさを物語っていて、ヘヴィなテーマでもある。
あとがきによると、素人時代に悪徳編集者に新人賞の賞金を持ち逃げされて、家まで売るほど困窮したとあるが。ひどい話だ。作中で、ファーマー自身を投影したフリギット(イニシャルが同じP・J・F)が胡散臭い編集者をボコるシーンで溜飲を下げてるのは、人間らしくて微笑ましいwファーマー、名作を書いてるし、作家として名を上げれてて良かった!
★★★★★