くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

グレッグ・イーガン『ゼンデギ』

ゼンデギ (ハヤカワ文庫SF)

ゼンデギ (ハヤカワ文庫SF)

あらすじ
記者のマーティンは、イランで歴史的な政権交代の場に居合わせ、技術が人々を解放する力を実感する。15年後、余命を宣告された彼は、残される幼い息子を案じ、ヴァーチャルリアリティ・システム〈ゼンデギ〉の開発者ナシムに接触する。彼女の開発した脳スキャン応用技術を用いて〈ゼンデギ〉内部に〈ヴァーチャル・マーティン〉を作り、死後も息子を導いていきたいと考えたのだが……。現代SF界を代表する作家の意欲作。

まずイーガンにストーリー性なんて求めてないのに、物語を語ってるのが違和感。表題のزندگی(ゼンデギ=英語ではlifeの意味)は、イラン版の体感型バーチャルゲーム世界のこと。死期が迫った父親が、息子を導く自分の分身をそのゲーム世界上に残そうとする。脳の刺激に対する反応のパターンを記録して自分の分身をバーチャル上に残そうとするサイドローディング技術など、SF的な近未来は興味深く読んだ。だがそこに至るまでの、イラン民主化革命や父子の交流やイランの古典を基にしたゲームなど、物語が長く感じた。いや苦悩や感動は伝わったが、イーガンにはもっと科学の最果てや超理論を求めたいんだよなあ。こういうアイデンティティの話はイーガンは短篇で書いてたのに、今回も短篇でよかったと思う。
追記:そもそもゲームに自分の分身を残そうという発想からして危なくないか?ゲームのハードなんてすぐにオワコンになるだろうに。今、セガサターンに父親の遺書が残ってますといわれても、再生する手段がなかったり困るだろう。ゼンデギも忘れられたハードにならないことを切に願う。
★★★☆☆