くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

スタニスワフ・レム『泰平ヨンの未来学会議』

あらすじ
地球の人口問題解決の討議のため開催される国際未来学会議に出席せんと、コスタリカを訪れた泰平ヨン。ところが、会議の最中にテロ事件が勃発。ヨンたちは、鎮圧のために軍が投下した爆弾の幻覚薬物を吸ってしまう。かくしてヨンは奇妙な未来世界へと紛れ込む……。レムがブラックな笑いでドラッグに満ちた世界を描きだす、異色のユートピアSF。アリ・フォルマン監督により映画化!(映画化名『コングレス未来学会議』6月20日(土)全国公開)

『コングレス未来学会議』というアニメになるということで、奇跡の復刊!なんでも昔「集英社ワールドSF」というレーベルから出てて、最近では超プレミア価格がついてたらしい。
泰平ヨン様の今作の舞台は宇宙じゃなく、コスタリカ人口爆発問題を議論するための未来学会議が開催されるコスタリカを訪れたヨン様だが、テロに巻き込まれて幻覚ドラッグ爆弾の餌食に。果ては、冷凍睡眠で未来にまで飛ばされる。未来世界のディストピア的裏側が暴露される終盤の、薬で幸福感を矯正する話は、グレッグ・イーガンの「しあわせの理由」をレム流の諧謔で書いた話に思えた。言葉のひとつひとつがユーモアに満ちているが、シリアスの未来像との対比がコワイ。
★★★★★